構造調整をめぐる労政間の合意

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

1999年の労使関係における最大の争点である構造調整をめぐる労政間の対立は、6月上旬の「韓国造幣公社におけるスト誘導疑惑」を機に再び激化し、労働界は市民団体を巻き込んでの連帯闘争を模索するなど、対政府闘争の構えを強めていた。しかし6月25日、政府与党の大幅な譲歩で労政間の合意が成立したため、6月26日に予定されていた労働界のゼネスト計画は撤回された。労政間の主な合意内容は次の通りである。

第1に、公共部門の構造調整の際は企画予算処の予算編成指針より各事業所の労働協約を優先し、新たに労働協約を締結する際は公共部門改革の原則と趣旨を反映するようにする。

第2に、今後の構造調整の原則と方向については労使政委員会で事前協議する。

第3に、労組専従者の賃金支給と法定労働時間の短縮に関する方策を見いだすために6月末まで「労使関係制度改善委員会」を設置することなど。

これにより、「人員の30%削減、体力鍛練費(福利厚生費)の廃止、退職金累進制の禁止、子女向け学費支援の融資制度への転換など」を主な内容とする公共部門の予算編成指針は事実上効力を失うことになる。そのため、早くも公共部門の構造調整が後退するのではないかという憂慮の声があがっている。

財界は「使用者側抜きに、労政間の合意が成立した」ことに反発し、「労政間の合意内容が如何なるものかを問わず、全ての案件は労使政委員会で原点に戻って議論されなければならない。そうすることによって初めて労使政委員会は社会的合意機構として本来の機能を果たすことができるし、その合意事項の誠実な履行も担保される」という声明を出した。

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