三星自動車の処理案をめぐる三星グループと政府の対応

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年9月

三星グループが三星自動車の処理をめぐって、1998年12月7日から始まった大宇グループとのビッグディール交渉を断念し、会社更生法適用の申請という予想外の道を選んだため、その行方に注目が集まっている。これにより、政府主導の財閥間ビッグディールの完結編と位置づけられていた自動車部門における構造調整案は敢えなく頓挫した。ただ、政府側には「ビッグディールが単なる事業交換で終わり、設備及び債務の過剰状態の改善につながらない」よりは、「オーナー経営者の責任で負債の整理と不採算事業からの撤退が断行された」方が、ビッグディール本来の目的に適うと評価する向きもある。

その一方で、三星グループの李会長が経営責任を取る意味で三星自動車の負債整理のために私財を投入するにあたって、三星生命保険株式会社の株式400万株(政府の許可が必要な上場を前提に2兆8000億ウオン相当)を当てることにしたため、関係者の間で議論が巻き起っている。市民団体の専門家の間では、「三星グループは三星自動車の資産価値算定をめぐって交渉が難航していた大宇グループとのビッグディールから、三星生命株式の早期上場の鍵を握る政府とのビッグディールに乗り換えただけである」とのうがった見方がもっぱらである。

では7月中旬現在三星自動車の処理をめぐっては何が争点になっており、三星グループ、政府、債権金融機関はそれぞれどのような立場をとっているのかについてみてみよう。

三星自動車に対する会社更生法適用の申請

三星グループは6月30日、釜山地裁に三星自動車に対する会社更生法の適用を申請すると共に、三星自動車の負債整理と下請け部品メーカーの損失補填のために李会長の三星生命保険株式会社の持ち株26%のうち、20%(400万株、2兆8000億ウオン相当)を投入すると発表した。

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