景気回復に伴う雇用情勢の改善

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年8月

統計庁が5月20日に発表した「4月の雇用動向」によると、失業者数は155万人で3月の170万4000人より15万4000人が減り、失業率は7.2%(季節調整値6.7%)で3月の8.1%より0.9%ポイント下がった。但し、失業者数が減っているにもかかわらず、労働時間が週1~18時間にすぎない就業者数や一時休職者数はそれぞれ56万2000人、18万1000人に達するなど、事実上失業状態にある労働者数は依然として多いのが実状である。

雇用形態別にみると、常用労働者数の減少傾向と臨時・日雇い職労働者数の増加傾向が顕著に現れており、雇用構造の不安定さが増している。つまり常用労働者数は2月の600万5000人から3月には599万5000人、4月には595万2000人のように減り続けているのに対して、臨時職労働者数は2月の395万9000人から3月には403万7000人、4月には411万7000人に増え続けているし、日雇い職労働者数も3月の200万人から4月には228万2000人に大幅に増えているのである。

労働部が6月7日に発表した「毎月労働統計調査」によると、4月末現在5人以上の事業所25万4000カ所の新規採用者数は13万5000人、退職・解雇者は10万6000人で純採用者数(新規採用者数・退職解雇者数)は2万9000人に達した。純採用者数は1月の7000人から、2月には8000人、3月には3万3000人のように大幅に増えている。純採用者数の増加傾向が目立っているのは、製造業部門(1万5000人)と500人以上の大手事業所(6000人)である。労働部の関係者は、「製造業の稼働率が上昇傾向にあるだけに、製造業の純採用者数増加傾向はしばらく続き、雇用情勢回復の索引役になるだろう」と述べている。

一方、構造調整の進展や景気回復に伴い、不当な解雇に対する救済申請を行うケースも減っている。労働部によると、1999年1月から4月にかけて各地方労働官庁と労働委員会に不当解雇救済申請を出した労働者は3640人で、1998年同期(5610人)より35.1%減少した。その内訳をみると、整理解雇の不当性を理由に救済を申請した者は779人で1998年同期(2376人)より67.2%減り、懲戒解雇の不当性を理由に救済を申請した者は2861人で1998年同期(3234人)より11.5%減った。労働部の関係者はこの背景について「1998年に構造調整がかなり進んでいるうえ、景気回復に伴い構造調整件数が減っていることもあって整理解雇者も大幅に減った。また整理解雇の実施回数が増えるにつれ関連法律を順守するようになったことも影響している」と述べた。

そして採用奨励金制度(経営悪化や構造調整などの影響で失職した労働者を新たに採用する企業に対する賃金補助制度)の支給要件が緩和された(四半期毎に5人以上または従業員の5%以上から月1人以上へ)こともあって、景気回復に伴い採用奨励金制度を利用し、新規採用に踏み切る事業所が増えている。労働部によると、4月末現在1319カ所(7118人の新規採用)に達し、1997年7月の同制度施行以来初めて1000カ所を超えた。採用奨励金の支給総額は1月から4月にかけて延べ96億7900万ウオンに上がっており、労働者1人当り月平均60万ウオンの賃金補助が行われたことになる。1998年(103カ所で5193人の新規採用)の状況と違って、採用奨励金制度を活用する事業所数の増加幅に比べて新規採用者数の増加幅がそれほど大きくないのは、支給要件の緩和に伴い、小規模事業所(平均2人ぐらいの新規採用)が急増したためである。

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