労組、政府は男女均等待遇指令違反をEU委に報告

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

ホワイトカラー労組連合(TCO)は、スウェーデン政府が男女均等待遇指令に違反しているとして、これをEU委員会に報告した。TCOは、政府の労災保険制度が女性を差別していると主張している。TCOは報告書の中で、女性の業務上疾病認定件数が男性のそれの半数に過ぎないと指摘した。雇用者の50%近くが女性であるにもかかわらず、報告された業務上負傷・疾病事故のうち女性に関係するのは30%にとどまっている。

TCOによれば、こうした差別は健康保険事務所の業務主管規則が1993年に変更されたために生じたという。すなわち、法律自体に問題はないが、健康保険事務所に対する行政命令が女性に典型的な労働災害の大半を補償対象から除外しているのである。問題になった災害事例とは、過労や反復作業によって首、肩、腕に生ずる典型的な筋肉障害である(行政命令変更前の労災保険基金は赤字であった。現在では相当な剰余金があり、大蔵省は労災補償以外の目的使用も認めている)。

またTCOは、健康保険事務所の決定や裁判所が、育児責任を負っているためにパートタイムで働かざるを得ない女性を差別しているとの見解を示した。つまり保険給付の決定を行う際に、これらの機関は家族的責任を有する女性が永続的にパートタイム労働を続けるとの前提に立って決定を下しているというのである。

TCOは、EU委員会がスウェーデン政府に対して法律や行政命令の変更を命じることを求めている。現在、TCOは膨大な予算を投入して、性差別を非難するプロジェクトに取り組んでいる。この組織が問題点を指摘するために、広告に男性器を示す露骨な言葉を使っていささかひんしゅくをかったが、同時にこれは女性の身体に対する男性のメディア支配に抗議するものであった。

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