大卒就職率、人文・理学系が苦戦
1998年の大学卒業生の就職率(同年12月末時点)は83.4%で、前年よりも11.5ポイント下がったことが3月9日、シンガポール国立大学(NUS)とナンヤン工科大学(NUT)の調査で分かった。
調査はアンケート形式で行われ、回答した学生5753人のうち749人の就職が決まっていない。
男女別の就職率は男子が86%、女子81.4%で、未就職者はそれぞれ同277人、同472人だった。また未就職者749人のうち546人は1社からも採用通知を受け取っていない。
学科別で見ると、人文・理学系が最も苦戦を強いられ、1998年12月末時点で就職先が決定していたのは7割にすぎない。前年は9割が決定していた。NUSのチョン・チ・タト副学長代理とNTUのチェン・チャーン・ニン副学長は大学進学を控えた学生やその両親に、人文・理学系学科に対し過剰な警戒心を抱かないよう忠告している。「人文・理学系学生は総合的な教育を受けているため、経済が安定している時期ならば多くの職種にうまく適応することができるからだ」と言う。
これとは対照的に求人ラッシュのただ中にあるのはコンピューター科学系の新卒者だ。なかでもコンピューター情報科学科の新卒者はNUSとNTUとも雇用先に恵まれており、とくに栄誉学士修了者はすべて就職を決めている。
NTU応用科学部学部長のハルチャラン・シン教授によると、そうした学生は今後システム・エンジニアやシステム・アナリストになっていくが、これらに対する需要があまりに旺盛なため、大学に残って栄誉学士を取得するよう学生を説得することが困難なほどだという。
大学新卒者の初任給も明らかになったが、1998年は前年と比較して総じて低くなっている。
専門学位取得者は平均2398S ドル、非専門学位取得者は平均2097S ドルで、それぞれ1997年より100Sドル、51S ドル低かった。
例年通り、大学新卒者の大半が民間部門に就職したが、政府機関に就職する学生の割合は1997年の21.7%から28.6%に上昇した。
こうした調査結果をふまえて、両大学は卒業生の就職活動の支援に力を入れ、説明会などリクルーターと接触する機会や、大学と使用者が協議する機会を増やしていくという。
もっとも、両大学とも別の側面に希望を見いだしている。大学院進学者が増えていることだ。
NUSで27%、NTUで20%増加した。チェン教授は「今回の経済危機は大学にとって不幸中の幸いと言える。景気のよい年には最も優秀な学生が労働市場へ流出してしまう。今は多くの学生が大学に残ってくれるようになった」とコメントしている。
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