経済的理由による事業所閉鎖と人員削減

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

労働省管轄の労働雇用統計局は1998年1年間に3072の事業所が経済的理由により事業所閉鎖あるいは人員削減を行ったと公表した。この数値は、労働省各地域事務所への企業による報告に基づいている。

事業所閉鎖等の状況

報告を行った企業の75.2%(2310事業所)が人員削減を、また9.5%の事業所が配置転換あるいは労働時間の削減を実施していた。さらに642の事業所が事業所閉鎖に追い込まれた。

月別の事業所閉鎖あるいは人員削減報告件数をみると、1998年1月、2月、3月に多く、他方5月、11月、12月に少なくなっている。地域別では、企業からの事業所閉鎖等の報告件数が最も多かったのはマニラ首都圏(1708事業所、全体の55.6%を占める)であった。

産業別では製造業に従事する事業所が全体の33.4%を、次いで卸・小売業が19.5%、金融・保険・不動産・ビジネスサービス業が16.0%、地域・社会・人的サービス業が12.2%を占めていた。また事業規模別では、小規模事業所ほど経済危機等の影響が大きく、事業所閉鎖に追い込まれた642事業所のうち359が従業員数20人未満の事業所であった。これに対し、人員削減・配置転換・労働時間削減措置は従業員数100人以上の大規模事業所で多く見られ、人員削減等を行った2310事業所のうち752が従業員数100人以上の事業所であった。

人員削減・事業所閉鎖等の主な理由には、(1)市場での需要の落ち込み、(2)事業の再編やダウンサイジング、人員過剰、(3)ペソ下落、が挙げられていた。

労働者に対する影響

1998年1年間に経済的理由による事業所閉鎖等の影響を受けた労働者数は15万5198人に及んだ。このうち永続的に仕事を失ったのは7万6726人(全体の49.4%)で、5万744人(32.7%)が一時的に失職し、2万7728人(17.9%)が配置転換あるいは労働時間削減の対象となった。

月別の状況は事業所に関するデータと同様で、影響を受けた労働者数は1998年第1四半期に増加し、第2四半期に若干減少した後、7月と8月に再び上昇に転じている。

地域別ではマニラ首都圏が最も多く、影響を受けた労働者の55.4%がマニラ首都圏で働いていた。産業別の状況を見ると、影響を受けた労働者のうち62.1%(9万6336人)が製造業に属し、このうち永続的に職を失った者は3万5952人であった。次いで影響を受けた労働者数が多かったのは卸・小売業で1万2462人、以下建設業が1万1857人、金融・保険・不動産・ビジネスサービス業が1万1521人と続く。

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