外国投資企業の「ドン建て」従業員給与容認へ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年6月

3月25日、グエン・マイン・カム副首相は外国人投資家との会合の席上、ドル建て給与のドン建てへの変更などを容認するなどの外国投資促進措置を公表した。外国投資受入額は前年比14%減の41億ドルにとどまり、2年連続減少している。アジア経済危機の影響で操業を中止する外国投資企業も出ており、外国投資企業は投資環境の改善を強く望んでいた。今回の措置は、こうした外国企業の要望に配慮したものである。

今回の一連の規制緩和策は、1999年7月1日に施行される予定である。その中には、(1)ドル建ての従業員給与をドン建てにすること、(2)外国投資企業で働くベトナム人の法定最低賃金俸給表をドン建て表示に替えることなどが盛り込まれた。これまで、ベトナム通貨ドンがドルに対して切り下げられるたびに、ドン建てベトナム人最低賃金および給与が上昇したため、外国投資企業から不満が出ていた。

この他、ベトナム企業に比べ外国投資企業に割高な料金を設定する二重価格制度を次第に縮小する計画が公表された。具体的には、(1)ベトナム企業向けに比べ54%割り増しの外国投資企業向け電気料金を36%割り増しにし、(2)国際通話料金を平均10%値下げする、(3)上水道料金を内国民待遇にする。

多くの外国投資家は、これらの改善策を歓迎し、早期実施を希望している。しかし、会合で外国投資家が最も興味を示したのは、行政手続きの簡略化や官僚の無責任な仕事ぶりと腐敗の是正である。この点についてカム副首相は、外国投資家に有利な変更のいくつかは政府単独では実行できず、国会の承認が必要なので、外国投資企業にしばらく辛抱してほしいと希望し、行政手続きの簡略化を約束した。その一方でカム副首相は、外国投資企業の中には最低賃金や給与についての規制を守らない会社があると指摘し、各種の問題の原因となっている労使対立の改善を求めた。

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