年金基金選択状況

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年5月

1970年代にLOは、法定基礎年金と報酬比例付加年金(ATP)に10%程度を上積みする協約による付加年金(職域年金)を取り決めた。この協約による付加年金は、2%の保険料により賄われ、LOとSAFによる合弁事業AMF社により運営されている。

現在92万人余りの労働者がこの年金協約の対象者となっている。この年金基金は証券市場や国債、不動産に投資されている。

1999年1月1日以降、民間部門におけるLO加盟組合員には、AMF社以外の銀行や保険会社等に保険料の管理と投資を任せるかどうかの決定権が与えられた。それに備えて、LOと労働保険会社Folksam社は新しい基金(合同基金)を開設した(取扱手数料を0.5%に抑えると約束)。民間保険会社の多くは取扱手数料を3%程度にしている。その間に、AMF社も手数料を合同基金と同じ水準まで引き下げた。

1998年12月31日までにLO加盟組合員は、年金保険の運用先を決定することになっていた。LOは、組合員がLOとFolksam社による合同基金(証券市場にのみ投資を行う)に積立金を委ねるべきと主張した。LOが二次的選択肢として推奨したのはAMF社であった。金属労働者労働組合と建設労働者労働組合は、組合費のチェックオフを扱っている協同貯蓄銀行であるForeningssparbankenと契約を締結した。この銀行も取扱手数料を低くして他の年金基金と競争することを約束している。

最終的にLO組合員の60%はAMF年金基金を選択したが、回答を示さなかった多くの労働者の中には今まで通りの取り扱い(すなわちAMF社)を積極的に望んだ者もいたと思われる。

1998年12月31日まで、民間保険会社とAMF社が宣伝活動を活発に行ったため、LOとFolksam社の努力が無駄に終わるのではないかと懸念された。しかし、組合員の権限行使の結果、合同基金に投資される年金運用資金に対して、将来LOが正常収益を出せるであろうことが示された。

1999年末までにLO組合員は運用先を変更することができる。さらに法律に基づき1999年末には、各組合員は18.5%の保険料のうち2.5%相当分をどのように投資するかも決断しなければならない。

常に可能な限り最高の配当を求めるという伝統的な慣習に追従する代わりに、LOとFolksam社による合同基金が雇用を維持するために大きなリスクをおかそうとしていることについては討議が行われてきた。投資政策に関する問題は2000年に予定されているLO総会で取り上げられることになっている。この総会で新興企業にリスク・マネーを投資しているケベック労働組合の制度を含めた調査結果が公表される予定である。

民間部門のLO組合員92万人がどのような選択を行ったかは次に示す通りである。

  • AMF年金:54万1680人(このうち36万5000人は受動的な選択をした。すなわち、彼らは申込用紙を提出せず、この場合AMFによる運用が自動的に継続する)
  • LO・Folksam社:14万1459人
  • Foreningssparbanken:6万9540人
  • AMF基金:6万1854人
  • Folksam保険:1万6927人
  • 地方自治体保険会社:1万2901人
  • Handelsbanken:1万2718人
  • その他18社

63.9%は従来からの年金保険を選択した(うち59.2%はAMF)。15.46%の者は合同基金に投資してリスクある積立方式をとることを決めた。同基金は証券市場の騰貴から利益を得るために株式を購入する予定である。7.8%は協同貯蓄銀行の方が株式市場でツキを呼ぶだろうと考えている。6.76%の人はAMF社に株式の購入を依頼した。AMFが送付した申込書を返送することで積極的な選択を行った者のうちほぼ26%は、合同基金を選択した。LOは、申込書を返送してこなかった40%のLO組合員の多くが1999年中に合同基金を選択すると予想している。

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