政府、中小企業支援策と輸出加工区拡大を計画

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:1999年4月

政府が中小企業支援策を計画

エストラダ大統領は、関係機関にアジア経済危機の影響に対処するため産業支援を行うよう命じた。さらに大統領は、国家電力公社に対し特定の産業に限って電力料金の一時的割引を実施するよう命じ、公社側も基本的にこれを了承した。電力問題に関連して、大統領は発電分野での民間部門参入に途を開くと思われる包括的電力改革法案も承認している。

大統領はこれ以外にも経済活性化策としていくつかの命令を出している。具体的には、(1)金融省と国家経済開発庁(NEDA)に対しては中小企業に関する開発援助や資金援助の可能性を探ること、(2)通産省やフィリピン開発銀行等に対しては経済危機の影響を受けた者に対する貸付制度の実施、(3)通産省、金融省、NEDA に対して民間企業と協力して公正取引確保に関する勧告の提出、(4)公務員社会保険制度(GSIS)と社会保障制度(SSS)に対し、50億ペソに及ぶ特別財政プログラムを中小企業が利用しやすくするようガイドラインを見直す、である。

雇用対策については、労働政策に関する大統領特別委員会が設置されることになり、労働省や使用者団体、労組の代表がそのメンバーを務めることになった。特別委員会は経済がグローバル化する中で投資に有利で雇用創出にも結びつく労働政策を勧告する予定である。

使用者団体は賃金据え置きを要求

フィリピン使用者連盟(ECOP)は2000年まで最低賃金を据え置くよう求めた。企業の中には高い最低賃金のために採用を控えざるを得ない者もいるということで、新規採用者の賃金を最低賃金の75~80%に抑えることも提案された。

これに対しラグエスマ労相は最賃据え置きは関係当事者との交渉が必要であり、現行法が1年に1回最賃の見直しを定めている点も考慮しなければならないと語った。

53以上の輸出加工区新設計画

政府は外資導入の上で輸出加工区が大きな役割を果たしていると評価し、今後53を超える加工区を作る計画を明らかにした。通産省長官は、輸出加工区拡充が地方の経済活性化策の一部を構成すると語った。輸出加工区は雇用創出面に加えて下請企業の育成にも貢献している。これ以外に建設業への波及効果も予想される。現在国内には56のエコゾーン(いわゆる経済特区)がある。

エコゾーンでは1999年2月に同地区で操業する企業の経営陣と労組が社会協定に署名した。この社会協定に基づき、経営側には雇用を維持するため生産性向上に努力し、労組にはストの実施や賃上げを求める前に使用者と十分に交渉することが求められる。エコゾーンの社会協定の内容は、同地区以外でフィリピン使用者連盟(ECOP)加盟企業と労組が以前に交わした産業平和に関する社会協定とほぼ同じである。ECOP は大統領に対し同協定を支持するよう求めた。

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