基礎情報:スウェーデン(2005年)

基礎データ

  • 国名:スウェーデン王国 (Kingdom of Sweden)
  • 人口:901万人 (2005年1月1日)
  • 実質GDP成長率:2.7% (2005年)
  • GDP:2,392億ユーロ (2004年、PPS)
  • 一人あたりGDP: 2万6,600ユーロ(2004年、PPS)
  • 労働力人口:446万人 (2004年)
  • 就業者数:421万人 (2004年)
  • 失業率:5.5% (2004年)

資料出所:(人口、GDP):欧州統計局(EUROSTAT)ホームページ
(その他):スウェーデン統計局ホームページ

I.労働関係の主な動き

1.2005年の労働市場

2005年の平均失業者数は24万1000人であり、平均失業率は2004年とほぼ同じ5.4%であった。6カ月(25歳以下の若年者の場合は100日)以上継続して失業している長期失業者の数は、2004年から2005年にかけて月平均で2000人減少し、5万7000人となった。2年以上失業しているかまたは労働市場政策プログラムに参加している人々は、前年よりも2000人多い、平均3万7000人であった。パートタイム労働の失業者は、前年よりも約3000人少ない平均7万1000人(その4分の3が女性)。時間給労働者の数は、2005年平均で、前年より3000人多い9万5000人となった。

2005年平均の失業者数と労働市場政策プログラム参加者数の合計は36万4000人で、労働力人口の8.2%を占めた(2004は7.7%)。スウェーデンの職業安定所に登録している人々のうち毎月平均5万4000人(2004年より4000人増)が、支援なしにまたは支援を受けて仕事を行った。このうち3万4000人が失業者や労働市場政策プログラム参加者であった。2005年には、前年より約5000人多い、平均6万7000人の若年者(18~24歳)が失業しているかまたは労働市場政策プログラムに参加していた。高齢者(55~64歳)の状況が若年者よりも幾分悪化し、2005年平均の高齢者の失業者数と労働市場政策プログラム参加者数の合計は、前年より約7000人多い6万2000人となった。

2005年には、2004年よりも6万1000件多い、合計41万6000件の求人(10日以上の)が公共職業安定所に登録された。昨年は、人材サービス業が発展するとともに、建設や請負産業において雇用が増加した。

2005年の解雇予告の数は、軍隊が大量の解雇予告を出した3月を除いて毎月前年を下回り、前年より9000件少ない約5万5000件となった。

2.労働法制の改革

改正傷病手当法が2005年1月に施行された。主な改正内容は、1)使用者が、3週目以降傷病手当にかかる費用の15%を無期限で負担、2)使用者が適切なリハビリ計画の作成、予防的傷病手当やリハビリテーション手当の支給など、傷病欠勤を減少させるための積極的措置を講じ、傷病者の職場復帰がある程度実現した場合、当該使用者に対し無期限で傷病手当の15%を支払う義務を免除、3)傷病保険に対する使用者の拠出割合を0.24%削減、4)傷病手当の上限を賃金の80%(現行は77%)又は月額2万5000スウェーデン・クローネ(SEK)のいずれか低い額とする――などである。

サバティカル休暇制度が1月から全国で適用された。勤続2年以上の労働者は、賃金の68%の手当を受給しながら、最長1年の休暇を取得することができる。長期失業者(主に移民や障害者など)が休暇取得者の代替要員として仕事に就く。代替要員の採用は使用者の選択による。職業安定所が候補者を紹介するが、使用者は失業者登録されている限り他の者を採用することができる。代替要員の賃金、その他の労働条件は、使用者と当該労働者の合意によって決まる。政府は、2005年に1万2000人がこの休暇を取得できるよう、15億SEKの予算を措置した。

社会民主党政権は4月、有期雇用労働者のためのより強い権利および育児休暇を取得する労働者のためのより強い保護を規定した雇用保障法および両親休暇法の改正案を提案した。新法は、1)使用者が12カ月を上限に非正規労働者を採用する権利、2)使用者が36カ月を上限に代替要員を雇い入れる権利、3)非正規労働者が採用6カ月経過後、正規労働者として雇用される権利、4)使用者が季節労働者を募集する権利、5)使用者が67歳以上の労働者を非正規雇用として雇い入れる自由、6)両親休暇中の労働者に対するより強力な雇用保証(もし両親休暇中の労働者が構造変化や仕事の不足によって解雇される場合、当該労働者が仕事に復帰した時点から予告期間が始まることとする)――などの内容を盛り込んでいる。

3.労使関係制度改革

スウェーデンでは2006年9月に総選挙が予定されており、労使関係制度改革が主要な争点の1つとなっている。

論争の1つは、団体協約の締結を拒否する企業に対する労働組合のストライキ権についてである。現行法制は労働組合を排除しようとする企業に対し、労働組合が産業別労働協約に署名するよう労働争議に訴えることを認めている。その際、政党も使用者団体も介入することはできない。しかし、最近スウェーデンで操業するEU新規加盟国の企業が、自国の労働協約に基づく安い賃金を自国の労働者に支払っている事例が発生したラトヴィアの建設会社など)。スウェーデンの労働組合は、外国企業にスウェーデンの労働協約に署名するよう要求し、労働争議を起こした。社民党政権や労働組合側は、外国人労働者に対する差別と闘う法的権利を主張し、野党や使用者団体は外国企業の立場を支持している。

もう1つの論争は、国境を越えた「同情ストライキ」に関する問題である。スウェーデンの労働組合には、スウェーデンで操業する外資系企業が自国で起こした労使紛争に対し同情ストライキを実施する権利が認められている。2005年5月に発生したフィンランド製紙産業の労使紛争に対し、スウェーデンの関連労組が同情ストを断行した。労働組合は、労使紛争の当事国からスウェーデンに生産が移管されることを防止するために、時間外労働の拒否などの同情的行動が必要であると主張する。現行の労働法制および政府は、労働組合の立場を支持し、野党と使用者団体はこうした行動に反対している。

参考資料:

  1. スウェーデン労働市場庁ホームページ
  2. 欧州労使関係観測所オンライン(EIRO)
  3. 当機構委託調査員レポート

参考:

  1. 1ユーロ=145.39円(※みずほ銀行ホームページ2006年6月22日現在のレート参考)
  2. 1スウェーデンクローネ=15.80円(※みずほ銀行ホームページ2006年6月22日現在のレート参考)

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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:スウェーデン」

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