基礎情報:フィリピン(2003年)

基礎データ

  • 国名:フィリピン共和国 (Republic of the Philippines)
  • 人口:8462万人 (2003年)
  • 実質経済成長率:4.6% (2002年)
  • GDP:820億ドル (2002年)
  • 一人あたりGDP:969ドル (2002年)
  • 労働力人口:3456万人 (2003年)
  • 就業者人口:3152万4000人 (2003年10月)
  • 失業率:11.4% (2003年平均)
  • 日本の直接投資額:500億円 (2002年)
  • 日本の直接投資件数:20件 (2002年)
  • 在留法人数:9967人 (2002年10月)
  • インフレ率:3.1% (2002年)
  • 最低賃金レベル:280ペソ (マニラ首都圏・2003年)
  • 争議件数:38件 (2003年)

資料出所:外務省新しいウィンドウ財務省新しいウィンドウ、LABSTAT(January 2004), Bureau of labor and Employment, DLE, Philippines、National Conciliation and Mediation Board

2003年度の主な動き

イラク戦争やアジアにおけるSARSの発生、そして天候の影響を受けた農業部門の低迷という状況にもかかわらず、2003年のフィリピンの労働市場は成長傾向が続くまでに回復した。総計すると、雇用率の年平均成長率は1.9%を記録した。サービス部門における雇用拡大(2.4%)と産業部門の回復(3.1%)が、この成長を支えている。15歳以上の人口数が増加しているにもかかわらず、フルタイム労働者と賃金労働者の失業者数と失業率は、昨年から増加していない。こうしたなか、2003年は双方ともに増加(フルタイム労働者:3.8%、賃金労働者:4.8%)をみせたことは注目に値する。

労働年齢人口(15歳以上)は、2.9%(約145万人)増加し、5179万人に達した。一方、労働力人口は緩やかな伸びをみせ、わずか1.8%(約62万4000人)増加し、3456万人であった。この伸び悩みは、就労率の減少(2002年:67.4%、2003年:66.7%)が影響している。特に若年層と女性の就労率の減少(若年層は52.3%から50.8%、女性は52.8%から51.7%)が目立つ結果となった。

新たに創出された雇用枠は56万件であった。そのうち、サービス部門が34万件(前年比2.4%増)と最大で、雇用総数も1,458万件で全体の47.6%を占めた。工業部門の新規雇用枠は14万4,000件(前年比3.1%増)で、特に建設業(5.5%増)と製造業(2.4%増)が好調だった。その一方で、鉱業や公益事業では雇用数が減少している。工業部門の総雇用数は全体の15.8%に達し、483万件となった。

年平均失業率は11.4%と前年並みで、失業者数は同1.6%増の393万人だった。特に若年層の失業者数は半数近くを占める。こうした状況の原因として、若年者の技術あるいは訓練不足が労働市場の需要に適さないということのほか、彼らが積極的に就職活動を行ってないケースも指摘されている。就職の斡旋等の政府による支援策が十分に活用されているとはいい難く、技能訓練プログラムやOJTプログラム、インターンシップ制度、そして労働市場の受け皿としての中小企業設立支援などの雇用政策の必要性が問われている。

1999年から伸び悩みをみせている海外出稼ぎ労働者(OFW)については、陸上ベースの労働者が65万350人で前年より4.7%減少したが、海上ベースの労働者数は21万4,694人と、前年比で2.4%増という結果であった。OFW数の減少傾向にもかかわらず、2003年通年のOFW送金額は前年比6.3%増の76億米ドルに達した。これは、看護師や介護士等の医療関係職や事務職など、比較的賃金の高い職種に就く陸上ベースの労働者数の増加が影響している。しかしその一方で、看護師の海外流出が続き、国内における人材不足および医療体制の危機が懸念されている。

表:人口と労働力(単位1000人%)
範囲 15歳以上の人口 労働力率 労働力人口 対前年比の増減
2002 2003 2002 2003 2002 2003 増減 増減率
性別 50344 51791 67.4 66.7 33936 34560 624 1.8
男性 25107 25815 82.0 81.9 20600 21130 530 2.6
女性 25237 25976 52.8 51.7 13336 13430 94 0.7
年齢 50344 51791 67.4 66.7 33936 34560 624 1.8
15 - 24 15203 15704 52.3 50.8 7946 7979 33 0.4
25 - 54 26594 26594 79.2 78.7 21068 21596 528 2.5
55以上 8546 8653 57.6 57.6 4923 4986 6 1.3

表:雇用人口(単位1000人%)
調査した月 総雇用人口 対前年同期比増減数 対前年同期比増減率
2002年(平均) 30062 906 3.1
1月 29705 1609 5.7
4月 30186 1026 3.5
7月 30104 823 2.8
10月 30252 167 0.6
2003年(平均) 30628 566 1.9
1月 30119 414 1.4
4月 30418 232 0.8
7月 30451 347 1.2
10月 31524 1273 4.2

表:産業別就労形態別就労人口(単位1000人%)
項目 2002年 2003年 増減 増減率
労働力人口 33936 34560 624 1.8
雇用人口 30062 30628 566 1.9
産業部門別
第1次産業 11122 11203 81 0.7
第2次産業 4694 4838 144 3.1
鉱業 113 104 -9 -7.7
製造業 2869 2939 70 2.4
電気・ガス・水道 117 112 -1 -0.8
建設業 1595 1683 88 5.5
第3次産業 14246 14586 340 2.4
卸小売業 5613 5604 -9 -0.2
ホテル・レストラン 693 749 56 8.0
運輸・通信 2162 2313 151 7.0
金融仲介業 312 304 -9 -2.7
不動産 544 640 96 17.6
行政機関 1442 1416 -26 -1.8
教育 935 924 -12 -1.2
医療・福祉 348 370 22 6.3
コミュニティ, 個人サービス 881 863 -19 -2.1
家政婦 1313 1404 95 6.9
特別地方職員 3 2 -1 -25.0
雇用契約内容
賃金労働者 14653 15356 703 4.8
自営業労働者 11399 11493 94 0.8
無報酬の家族労働者 4009 3779 -231 -5.7
労働時間別就労形態
40時間未満 11284 11301 17 0.1
40時間以上 18155 18846 691 3.8

表:失業状況(1) (単位1000人%)
調査した月 失業人口 失業率
2002年(平均) 3874 11.4
1月 3393 10.3
4月 4866 13.9
7月 3814 11.2
10月 3423 10.2
2003年(平均) 3932 11.4
1月 3559 10.6
4月 4217 12.2
7月 4399 12.6
10月 3554 10.1

表:失業状況(2)(単位1000人%)
範囲 失業者数 比率 失業率
2002 2003 2002 2003 2002 2003
性別 3874 3932 100.0 100.0 11.4 11.4
男性 2295 2383 59.2 60.6 11.1 10.9
女性 1579 1549 40.8 39.4 11.8 11.2
年齢 3874 3932 100.0 100.0 11.4 11.4
15-24 1919 1853 49.5 47.1 23.7 22.8
25-54 1644 1734 42.4 44.1 7.8 7.7
55以上 311 346 8.0 8.8 6.3 6.6

表:不完全就業(単位1000人%)
調査した月 不完全就業人口 不完全就業率
2002年(平均) 5109 17.0
1月 4724 15.9
4月 5922 19.6
7月 5161 17.1
10月 4428 15.3
2003年(平均) 5215 17.0
1月 4849 16.1
4月 4733 15.6
7月 6314 20.7
10月 4964 15.7

表:産業別月額平均賃金 (2002年6月調査)
産業/職種 月額平均賃金(ペソ)
コンピューター・プログラマー 23146
保険・年金関連プログラマー 19783
IT関連プログラマー 23783
製造業及びインフラ関連産業 10911
電子部品、機器関連の整備士 11180
ラジオ・テレビ・通信機器の製造 8941
自動車の製造業 9341
自動車の製造過程の一部(金属薄版加工業者,その他の作業員) 7310
生活インフラ(電力・ガス・水道等) 21859
建設業 7784

*自動車産業・生活インフラ・建設産業については、表の数値の加重平均をとった

*調査対象は、マニラ首都圏及びその周辺地域

出典:

LABSTAT No.14, July 2003, Bureau of labor and Employment DLE, Philippinesより作成

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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:フィリピン」

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