6,000円以上の賃金改善を要求する方針案を中執で確認/自動車総連

(2014年12月24日 調査・解析部)

[労使]

自動車総連(相原康伸会長、約76万人)は19日、中央執行委員会を開き、来年1月に開催する中央委員会で提案する2015闘争方針案を確認した。同日、本部で相原会長が会見し、賃金引き上げの要求基準を6,000円以上としたことを明らかにした。

直雇用非正規労働者の賃金改善分も要求基準に加える

会見で相原会長は、2015闘争に向けて、「今年も労使自治の原則で徹底的な話し合いを繰り広げ、より良い結果を導き出す」とし、「日本経済の持続的成長に向けた道筋をいかにつくりこんでいくか、さらに非正規や中小の格差是正を進め、底上げをいかに進められるか。また、懸命に職場で努力する組合員の生活面も念頭に置きながら、労働条件の向上をいかに図ることができるか、など、さまざまな課題がある。自動車総連は、15年は積極的な人への投資をもって、昨年見出すことができた起点を点から線へ、確実につなげることで、デフレを脱却し、持続的な成長に向け、確実に経済を、時代を前に進めていくために全力で取り組みたい」と強調した。

その後、方針案の賃上げ要求基準の内容について説明し、「すべての単組において、めざすべき経済の実現、物価動向、生産性向上分とその成果の配分、産業実態、賃金実態をふまえ、また、格差是正、体系の是正などさまざまな観点を総合的に勘案し、6,000円以上の賃金改善分を設定するとの要求基準案を確認した」と述べた。

さらに、今回から初めて、直接雇用の非正規労働者についても原則として賃金改善分を設定することを要求基準に付け加えることも明らかにした。自動車総連の加盟組合のなかには、2014春闘でも非正規労働者の賃金改善を要求したところもあるが、これまで要求基準としたことはない。

額による要求で大手と中小の「格差是正」をめざす

2014年闘争では、自動車総連は全体としての賃上げの要求基準において、額や率などの具体的な改善幅を示さなかった。今回、明確に6,000円以上と設定した理由についての記者からの質問に対し相原会長は、「今年も経済、物価動向を踏まえたときに、より鮮明に生活への影響、より鮮明にデフレ脱却が重要であるとの認識を持っている。総連全体としてひとかたまりの形で要求し、交渉に臨むことが、よりよい結果に結びつくという信念で、額で取り組んでいくことにした」と答えた。

また、率で設定すると、賃金の絶対額が低い中小組合の場合、大手との格差が埋まらないことを説明。総連全体では基準内賃金の平均が25万円程度であることから、2%とするのではなく、6,000円以上とすれば、自ずと2%を超える部分の格差是正分が含まれることになり、額で設定することが「自然なやり方だ」と説明した。

最終方針を決定する自動車総連の中央委員会は、1月15日に名古屋市で開催される。