定昇2.0%プラス、ベア5,500円を統一要求に/私鉄総連の討議案

(2014年12月5日 調査・解析部)

[労使]

大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(藤井一也委員長、11万4,000人)は4日、都内で中央委員会を開催し、2015年春季生活闘争(春闘)の闘争方針「15春闘職場討議案」を確認した。15春闘では、月額基本給を一人平均2.0%(定期昇給相当分)プラス5,500円(ベースアップ分)の引き上げを統一要求として掲げる考えだ。

さらに今月14日に投開票される衆議院議員選挙の闘争方針として、民主党私鉄交通政策議員懇談会に所属する辻本清美氏を準組織内候補とし、さらに社民党を含む11人を重点候補として推薦することを決定した。

冒頭挨拶に立った藤井委員長は、2014年春闘について、「首相が財界に賃上げ要請を行う異例の春闘となったが、一部の大企業で働く者を除き、多くの労働者は恩恵を受けていない」ときびしく総括した。

さらに2015春闘については、「今回の統一要求額は、地方の中小鉄道事業者、バス・ハイタク業界の厳しい経営環境を勘案すると非常に難しい内容であることは承知している。だが、職場で問題となっている要員不足は、低賃金や不規則な勤務時間が原因となっており、こうした状況を改善するとともに、組合員の生活を回復させ、賃上げによる経済の好循環を実現するためには必要不可欠な額と考える」と訴えた。

生活維持分及び生活回復・向上分として5,500円

2015年春闘の職場討議案では、昨年に引き続き、賃金カーブを維持するための定昇相当分を確保するとともに、生活維持分及び生活回復・向上分(ベア分)を併せて要求する方針を固めた。

私鉄・バス組合の統一要求では、各組合員の現行基本給を一人平均で、定昇相当分2.0%プラス生活維持分及び生活回復・向上分(ベア分)として5,500円の引き上げを求める。このうち、「生活維持分」については、消費税率引き上げの影響を最小限に抑えることを前提に、消費者物価指数(4~9月分平均)の2.9%と、消費税増税の影響分として推計した2.0%を除く0.9%相当とした。一方、「生活回復・向上分」については、「定昇額と賃上げ額を加えた要求は4%以上」との連合の方針や他産業と比べて低い賃金実態や労働者が日夜安全運行とサービス向上に向け努力している実態などを踏まえて、1.1%相当とした。

ハイヤー・タクシーの専業組合は、月例基本給を一人2.0%(定昇相当分)プラス生活維持分及び生活回復・向上分(ベア分)5,500円の引き上げをめざす。

職場討議案は来年2月3日の拡大中央委員会で正式決定する。