3%が要求額論議のスタート台/国民春闘共闘委の15春闘構想

(2014年10月31日 調査・解析部)

[労使]

全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、小田川義和全労連議長)は10月29日、都内で年次総会を開催し、2015年春闘方針構想を確認した。実質賃金を改善して、大幅賃上げを勝ち取ることを柱に掲げ、物価上昇率3%程度が要求額論議のスタート台となるとした。方針案は来月下旬の国民春闘討論集会で議論され、年明けに正式決定する。

15春闘に向けた構想案では、①消費税増税を阻止し、実質賃金を改善する大幅賃上げを勝ち取る「賃上げ春闘」、②憲法をまもりいかす共同の前進で、安倍政治をストップさせる「暴走政治ストップ春闘」、③職場の隅々に運動の風を吹かせ、仲間を増やし全組合員参加でとりくむ「職場活性化・組織拡大春闘」、④持続可能な社会をつくる地域からの取り組みを推進する「地域春闘」――を基調にすえ、大幅賃上げを柱に、賃金闘争で眼に見える前進をつくりだし、すべての労働者と国民の暮らしを改善することが、2015春闘に課せられた第一義的な課題と指摘する。

柱となる「賃上げ春闘」では、4月の消費税率引き上げ後、実質賃金が低下していることを踏まえ、春闘アンケートを基礎に、生計費原則に基づき、①賃金底上げ要求額、②過年度物価上昇、③消費税率引き上げ――の3点から、要求額を練り上げるとして、「少なくとも現段階の消費者物価の上昇率3%程度の数字は実質賃金維持のためにも最低限の論議のスタート台である」(小田川代表幹事)と指摘。14春闘(統一要求額、月額1万6,000円以上)を上回る金額を早めに具体化して、議論を深めるとした。

職場から1,000円未満をなくす

そのほか、正規と非正規の格差が拡大していることを踏まえ、非正規労働者の賃上げを重視するとして、均等待遇原則を基礎に、人間らしい生活ができる賃金の実現を求めるとして、職場から時給1,000円未満の労働者をなくすとりくみをすすめる。全国一律最低賃金制の実現をめざす最賃闘争の再構築や公契約運動の強化など、底上げを重視した社会的な賃金闘争や最低生活まもれの国民運動の新たな構築をめざすことを提起した。

ナショナルセンターの枠を超え労働時間法制見直しに歯止め

賃金以外では、「良質な雇用と働くルールの確立をめざす」として、雇用改革の阻止に向け職場の取り組みを強化するとともに、ナショナルセンターの枠を超えた共同の前進を広げ、労働時間法制の見直しの流れに歯止めをかけること、ブラック企業なくせキャンペーン運動を強化し、若者の雇用の安定を求める世論を一層強化することをあげた。

今後、11月26日、27日に熱海市で開かれる国民春闘討論集会で議論を深め、幹事会で意見集約の上、年明けには2015春闘方針が正式決定される見通し。