労働者保護ルールの改悪阻止を/連合が行動開始宣言集会を開催

(2014年9月26日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は25日、「労働者保護ルール改悪阻止行動開始宣言集会」を東京・国際フォーラムで開いた。集会には組合員ら4,178人が参加。「働く者の命と健康、雇用を守れるか否かは、これからが正念場だ」として、労働者保護ルール改悪阻止の取り組みを最重点課題に据えて運動を展開していく姿勢をアピールした。集会では、労働者保護ルールの改悪阻止に向けた「全国縦断アピールリレー」もスタートさせた。

労働者保護ルール改悪阻止行動開始宣言集会

「すべての働く者の命と健康、雇用を守れるか否かはこれからが正念場」(古賀会長)

あいさつした古賀会長は、安倍政権の政策運営について、「政府は6月に閣議決定した『日本再興戦略』改訂2014で、いわゆるホワイトカラー・エグゼンプションの導入に向け踏み込んできた。来週から始まる臨時国会では先の国会で廃案となった労働者派遣法改正案を再び提出しようとする動きがある」と危機感を表明。「すべての働く者の命と健康、雇用を守れるか否か、これからがわれわれの正念場だ」と訴え、集会を起点に「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」キャンペーン第3弾をスタートさせることを宣言した。

そのうえで、労働時間規制について、「いま政府は、一定年収以上の人を労働時間の対象から外そうとしている。年収1,000万以上ならいいとしているが、経営者団体がかつて主張したのは年収400万円。一度、制度が入れられれば年収要件を変更するだけで容易に広がっていく」と説明。「このような制度が導入されれば、会社は労働時間のルールに縛られることなく、また残業代を支払うことなく仕事量を増やし、成果だけを厳しく求めてくる。そして、その先にあるのは働き過ぎによる過労死だ」と懸念を示した。

さらに、「労働時間規制とは、働く者の命と健康を守る社会生活、家庭生活を営むための生活時間を確保するためのもの。年収が高いから命と健康を守るためのルールを適用除外してもよいという理屈はまったく筋が通らない。先の国会では過労死等防止対策推進法が成立し、国には過労死を防止する責任が課せられている」などと指摘して、「いま政府が行うべきはホワイトカラー・エグゼンプションのような残業代ゼロ制度の導入ではなく、過労死ゼロに向けた取り組みだ」と述べた。

また、労働者派遣法に関しては、「再提出されようとしている政府案は、派遣はずっと派遣のままで働かせ続けることを可能とし、しかも派遣労働者の雇用の不安定さや低処遇といった厳しい実態にはほとんど手を付けようとしていない」として「生涯派遣で低賃金を合法化する改悪は断じて認められない」と批判。さらに、「解雇の金銭解決制度の導入や人手不足を口実にした安易な外国人受け入れについても大きな問題を抱えている」と指摘し、「連合は労働者保護ルール改悪阻止の取り組みを当面の最重点課題と位置付け、総力をあげて運動を展開していく。積極的な行動への参画をお願いしたい」と呼びかけた。

「全国縦断アピールリレー」で世論喚起を

連合は今回、「STOP THE 格差社会!暮らしの底上げ実現」キャンペーンの取り組みの一環として、労働者保護ルールの改悪阻止に向けて全国で世論を喚起する「全国縦断アピールリレー」を企画している。

集会では、リレーのスタート地点となる北海道と沖縄の模様をライブ中継。会場の「カウントダウン」でスタートを切った。今後、東日本ルートと西日本ルートに分かれて、たすきをつなぎ、両ルートとも12月5日の東京・日比谷野外音楽堂でゴールすることをめざす。

また、集会では、「すべての働く者の団結で、労働者保護ルールの改悪を阻止する」ことを呼びかける「行動開始宣言」を採択した。