月例給0.27%(1,090円)とボーナス0.15月の引き上げ/今年度の人事院勧告
(2014年8月8日 調査・解析部)
人事院(一宮なほみ総裁)は7日、2014年度の国家公務員の月例給を0.27%(1,090円)およびボーナス(期末・勤勉手当)を0.15カ月引き上げるよう国会と内閣に勧告した。月給とボーナスの引き上げはいずれも7年ぶり。また、あわせて地域間と世代間の給与配分を民間の実態に合わせることを趣旨とする「給与制度の総合的見直し」を、15年度から3年間かけて実施するよう要請している。
人事院が実施した民間給与実態調査では、今年4月の民間賃金が公務員給与を1,090円(0.27%)上回った。これを受け人事院は、世代間の給与配分の観点から、若年層に重点を置いた俸給表の水準引き上げを勧告。民間に比べ水準が低い行政職一級の初任給を2,000円引き上げ、若年層の水準も同程度の改定率とする。その一方で、水準が高い3級以上の高位号俸で、50歳代後半の水準は据え置く。
民間のボーナスの支給水準との均衡を図るため、期末・勤勉手当を現行の年間3.95カ月から0.15カ月引き上げ、支給月数を4.10カ月とする。4カ月台に回復するのは5年ぶりとなる。ただし、引き上げ分は能力実績に応じて支給される「勤勉手当」に配分される。このほか、自動車通勤者の通勤手当の引き上げ、寒冷地手当の支給地域の見直しが盛り込まれている。
「給与制度の総合的な見直し」も勧告
また、勧告では民間賃金の低い地域における官民給与の実情をより適切に反映させることのほか、50歳代後半層の水準の見直しといった課題を受け、「給与制度の総合的見直し」についても勧告があった。具体的には、 (1) 俸給表の水準を平均2%引き下げ、地域手当等に再配分することで、地域間の給与配分を見直す、 (2) 単身赴任手当、広域異動手当、本府省業務調整手当の改善――などが盛り込まれている。同日発表された人事院総裁談話では、その背景について、「民間賃金の低い地域を中心に公務員給与が高いのではないか等の指摘が依然として見られる。また、50歳代後半層において公務員給与が民間を上回る状況にあること等から、給与カーブの見直しが必要となっている」と説明。手当の改善について「人材確保の必要性や人事運用の要請等」を踏まえたとしている。