A~D全ランクで2年続けて10円超の答申/中央最低賃金審議会

(2014年7月30日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省の中央最低賃金審議会は29日、平成26年度の地域別最低賃金額の改定目安について答申した。引上げ目安は、Aランクが19円、Bランクが15円、Cランクが14円、Dランクが13円とされ、全国の加重平均では16円となった。最低賃金が目安額通りに決定されれば、北海道、宮城、東京、兵庫、広島で残されていた生活保護との逆転現象が解消されることになる。

5回に及ぶ小委員会での議論を経て公益委員見解へ

平成26年度の地域別最低賃金の改定目安をめぐっては7月1日、田村厚労相から諮問を受けた中央最低賃金審議会及び同日、設置された「目安に関する小委員会」で議論がスタート。「目安に関する小委員会」は7月1日、15日、23日、28日、29日の5回にわたる議論を経て、「目安に関する公益委員見解」と「目安に関する小委員会報告」のとりまとめに漕ぎ着けた。

労使の主張の隔たりは大きく、小委員会での最終版の議論は28日の10時から行われた第4回が29日未明まで約15時間に及び、その後、同日14時からの仕切り直しから20時近くまで、公労使の議論が展開された。審議は、「特に地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備に努めてきた資料を基にするとともに、『経済財政運営と改革の基本方針2014』及び『「日本再興戦略」改定2014』についても特段の配慮をした上で、東日本大震災による地域への影響にも配意し、地域別最低賃金と実際の賃金分布の関係等にも配慮する等、諸般の事情を総合的に勘案して」(公益委員見解)行われた。

生活保護水準との逆転現象を全都道府県で解消へ

「目安に関する公益委員見解」として、地方最低賃金審議会に示されたランクごとの引上げ額注)は、Aランクが119円、Bランクが15円、Cランクが14円、Dランクが13円で、全国加重平均では16円となった。いずれのランクも、昨年度(Aランク19円、Bランク12円、C・Dランク10円)と同じか、それを上回る水準。引上げ幅が全ランクで10円を超えるのは2年連続となる。

全国加重平均でも3年連続で10円を超え、昨年度(14円)をさらに上回る16円は、4年ぶりの高水準。地域別最低賃金の平成25年度の全国加重平均額は764円だったので、16円の引き上げにより780円に乗せることになる。

なお、生活保護水準が最低賃金を上回るいわゆる「逆転現象」が、北海道(残された乖離額は11円)(Cランク)、宮城(1円)(C)、東京(1円)(A)、兵庫(1円)(B)、広島(4円)(B)の5都道県で残されていたが、最低賃金が目安額通りに改定されれば、全地域で解消されることとなる。

^地域別最低賃金の改定目安は、全都道府県を経済実態に応じて4つのランクに分け提示されている。現在、Aランクは東京、愛知、大阪を含む5都府県、Bランクは11府県、Cランクは14道県、Dランクは17県となっている。

平成26年度地域別最低賃金額改定の目安について/厚生労働省新しいウィンドウ