国民春闘共闘が中間総括を確認/約2割でベア獲得

(2014年6月27日 調査・解析部)

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、大黒作治全労連議長)は6月26日、都内で第2回単産・地方代表者会議を開催し、14春闘の中間総括を確認した。

賃上げは加重平均で6,215円(2.09%)

直近の第7回集計(5月29日時点)では、登録855組合の6割弱にあたる499組合が回答を引き出しており、前年同期(2013年5月30日、473組合、54.3%)に比べ26組合増えている。うち金額・率回答を引き出した374組合の単純平均(一組合あたりの平均)は5,780円(2.01%)で、前年同期を368円(0.08ポイント)上回っている。一方、組合員一人あたりの加重平均では6,215円(2.09%)となり、こちらも前年同期を242円(0.06ポイント)上回る結果となった。

今春闘では、「時間額120円(率換算12%)以上、月額1万6,000円(5%)以上」を統一要求目標に掲げ、「ベア要求」「ベア獲得」にこだわる交渉を展開した。

14春闘の中間総括案を提起した小田川義和事務局長は、「額・率とも前年比微増となったが、例年と違い、集約が進むにつれ、右肩あがりになるのが今年の春闘の特徴」と報告した。

ベア獲得の職場が前年比増

共闘に参加する単産のすべての交渉単位を対象とした第5回進捗状況調査(6月3日時点)も中間総括案で報告した。それによると、要求提出した2,421組合のうち、回答を引き出したのは1,650組合。その回答内容をみると、「定昇制度あり」職場(回答949組合)で、「定期昇給+ベア」回答を引き出したのは、回答949組合の2割にあたる190組合となり、前年同期(107組合、14.4%)を83組合、5.6ポイント上回る。一方、「ベアゼロ・定昇のみ」回答は749組合(78.9%)と8割弱を占めるが、前年同期(608組合、82.1%)より141組合、3.2ポイント減少している。

この結果について、小田川事務局長は、「ベアの確認が困難な職場も少なくないので、ベアの概念について、さらなる議論が必要」と指摘した。

要求の前提となる統一的な考え方を整理

中間総括では、「ベアにこだわるたたかいを続けた結果、「ベアは論外」という職場の雰囲気を払拭する転機となり、春闘への確信を深めた職場の広がりが確認できた」とする一方、「消費税増税を懸念して、賃金抑制を強める経営側とのせめぎ合いとなった。経営側の厳しい姿勢を打ち破れず定昇程度にとどまった職場がある」と指摘している。

今後の取り組みとしては、①14春闘を通じて前進させてきた「賃上げこそ景気回復のカギ」「デフレ不況克服のカギ」の世論をさらに大きくし、すべての労働者の賃金引き上げの成果につなげるため、職場、地域のたたかいを継続し、発展させる (2) 「ベア」の概念、企業内最賃と非正規労働者の賃金水準、均等待遇の具体的課題など、要求の前提となる点での、議論と統一的な考え方の整理を進める (3) 4月、5月にたたかいを集中させる単産での統一したたたかい、共闘のあり方の議論を進める――ことなどをあげた。

なお、質疑・討論では、「今年はベア春闘だったが、執行部が代替わりして、ベアを取りにいくやり方がわからなかった」(民放労連)、「14春闘を通じて、職場に変化が生まれつつある。組合員がポツポツ増えはじめている」(JMIU)、「6年連続で組織拡大ができそうだ」(医労連)などの意見が出された。