中堅・中小組合でも8割がベアなどの賃上げを獲得/金属労協の要求・回答状況

(2014年3月28日 調査・解析部)

[労使]

自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5つの金属関連の産別労組で構成する金属労協(JCM、西原浩一郎議長)は27日、今春闘における大手組合と中堅・中小組合の同日までの回答状況についてとりまとめ、公表した。大手を中心とする52の集計登録組合で、賃上げ(ベア・賃金改善分)を獲得できなかったのは3組合のみ。中堅・中小組合でも約8割が賃上げを獲得した。

大手の平均賃上げ額は1,737円

金属労協では、各構成産別に加盟する組合のなかで、春闘相場に影響力のある大手組合を「集計登録組合」と位置付けるとともに、中堅・中小企業の交渉における相場波及に影響のある中堅・中小、地場組合を「中堅・中小登録組合」と位置付け、毎年、金属労協本部に登録している。集計登録組合は先行して交渉を展開し、3月の交渉の山場である集中回答日に向けて回答を引き出す。一方、中堅・中小登録組合は、3月下旬までの回答引き出しに努力し、相場を作り出すことによって、4月以降に交渉する金属労協傘下の登録組合以外の中堅・中小組合の交渉を後押しするというのが、金属労協の戦術となっている。

金属労協が27日までにとりまとめた要求・回答状況によると、今年の大手の集計登録組合は52組合で、すべての組合が賃上げ(ベアや賃金改善分)を要求した。賃上げ要求額の単純平均は、3,918円となっている(昨年は39組合が要求し、賃上げ要求したのは3組合)。52組合すべてが回答を引き出しており、賃上げを獲得したのは49組合で、賃上げ獲得額の単純平均は1,737円だった。賃上げを獲得できなかったのは、JAM傘下のシチズンと全電線傘下のフジクラ、三菱電線。なお、シチズンは賃上げを獲得できなかった代わりに、年間2万4,000円を一時金に加算するとの回答を会社側から引き出している。

5カ月台(5.11カ月)に乗った大手の年間一時金

一時金をみると、52組合のうち、「要求・回答方式」が34組合、業績連動方式が16組合で、「要求・回答方式」である34組合すべてが回答を引き出している。前年比での内訳をみると、前年水準を上回る組合が29組合、同水準が2組合、下回る組合が2組合と、ほとんどの組合が前年を上回るか同水準となっている。回答の平均月数は5.11カ月と5カ月台に乗り、前年に比べ0.39カ月(8.3%)増となった。

中堅・中小の平均賃上げ額は1,246円

一方、中堅・中小登録組合の状況は、今年は162が登録。このうち159組合が賃金について要求し、152組合がベア・賃金改善などの賃上げ要求を行った。賃上げ要求額の単純平均は3,421円。27日までに回答を引き出したのは132組合で、このうち賃上げを獲得したのは回答組合の約8割にあたる106組合となっている。賃上げ獲得額の単純平均は1,246円。

中堅・中小の一時金は前年同期日0.27カ月増の4.88カ月

一時金は、162組合のうち、「要求・回答方式」が147組合、業績連動方式が25組合で、要求・回答方式の組合のうち108組合が回答を引き出した。前年比での内訳をみると、前年水準を上回る組合が73組合、同水準が16組合、下回る組合が6組合で、昨年同時期の状況は、前年水準を上回るが42組合、同水準が14組合、下回るが19組合だったことから、中堅・中小組合でも一時金回答の改善傾向は鮮明となっている。回答の平均月数は4.88カ月で、昨年同時期に比べ0.27カ月増加している。

同日、本部で記者会見した西原議長は、「組合員の期待に応え、デフレ脱却と経済の好循環を確実にするための闘争とするという、われわれが課せられた使命から判断すると、一定の役割を果たしつつある」とここまでの回答内容を総括した。4月以降もさらに中堅・中小組合の交渉が継続するが、「これまでの(賃上げの)流れを力にして、一歩でも二歩でも交渉を前に進めていきたい。手応えはある」と述べた。

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