傘下組合の賃上げ要求は平均3,791円、率で1.39%/UAゼンセンの賃金闘争要求状況

(2014年3月7日 調査・解析部)

[労使]

UAゼンセン(逢見直人会長)は5日、大阪市内で2014賃金闘争・中央総決起集会を開き、3月4日現在の要求状況を報告するとともに、「製造産業」、「流通」、「総合サービス」のそれぞれの部門から、単組が賃金闘争についての取り組み内容を報告した。4日現在で、正社員の要求額(単純平均)は8,984円(率で3.48%)で、賃金引上分だけでみると3,791円(1.39%)。短時間組合員の要求額(同)は33.7円(時給換算)となっている。

「決意を固めて、要求貫徹を」(逢見会長)

集会の冒頭で決意表明を述べた逢見会長(中央闘争委員長)は、物価がじわじわと上がってきていることを指摘したうえで、「生活水準の維持・改善の観点から、組合員の賃上げに対する期待は相当、大きくなっている。物価上昇分をまかなえなければ実質生活は低下してしまうことから、今次闘争は重要な取り組みであり、組合員の期待に応えなければならない」と強調。「(政府も賃上げが大事であるとアピールしているが)労働組合が要求して、交渉し、組合の声を経営側に反映させて、納得できる回答を引き出すという姿勢でないと賃金は上がらない」とし、「来週の交渉のヤマ場に向けて決意を固めて、われわれの要求を貫徹しよう」などと訴えた。

松浦昭彦書記長が3月4日現在の要求状況を報告した。2014闘争に参加する組合数は最終的に1,835組合となり、参加組合員数は140万1,679人となった。正社員について賃金要求している組合数は584組合で、昨年同時期が352組合だったことから、松浦書記長は「大幅な要求の前倒しが進んだ」と評価した。要求額の単純平均は8,984円で、率にすると3.48%。昨年同時期が6,936円だったことから、要求額はほぼ昨年を2,000円上回る水準となっている。「賃金引上げ分」だけの数字でみると、単純平均で3791円(昨年同期は1500円)で、率にすると1.39%となる。

パートの要求は時給33.7円のアップ

一方、短時間組合員に関する要求状況をみると、「昨年より大幅に要求提出が早まっており」(松浦書記長)、211組合が要求(昨年同期は119組合)。賃金引き上げ分を含む要求額の単純平均は33.7円(時給換算)で、昨年同期(21.8円)を上回った。

各単組の報告では、製造産業部門からは住江織物グループ労働組合連合会が「県支部指導組合の取り組み」について、流通部門からはニトリ労働組合が「部門指導組合の取り組み」について、総合サービス部門からはサガミチェーン労働組合が「短時間組合員(パートタイマー・契約社員など)の処遇改善の取り組み」について、それぞれ報告した。

住江織物グループ労働組合連合会の櫻井明広会長は、製造産業部門では88%が規模300人以下の中小労組が占めることを説明したうえで、中小を取り巻く環境は追い風の状況ではけっしてないと報告。円安による輸入原材料の高騰などの具体例をあげる一方、「現状に甘んじていてはいけない。先行組合の交渉状況を注視し、連携して、昨年水準を上回る成果を求めていかないといけない」などとアピールした。

ニトリ労組は正社員もパート・アルバイトも1%の要求

ニトリ労働組合の小野正行委員長は、2月24日に要求提出し、第1回目の交渉をすでにもったが「経営側の姿勢は要求と乖離がある」と報告。同社では商品の8割がプライベートブランドであり、海外生産で輸入されていることから、「企業業績は為替に左右されやすい」と述べるとともに、地方も含めたパート・アルバイトの採用難の現状から、「何としても今回の闘争は勝ちにこだわらないといけない」と述べた。同労組は、正社員もパート・アルバイトも1%のベア要求をしていると報告したうえで、「流通業は働く姿が見える仕事であり、生き生きと働く姿を見せることが企業価値をあげ、流通業の地位を向上させる。この闘争のそのためのものであり、組合員の思いを経営側にぶつけ、思いの届く交渉を粘り強く展開したい」などと強調した。

サガミチェーン労組はパートの昇給制度を整備

サガミチェーン労働組合(会社が和食チェーンを展開)の阿部克寿委員長は、2008年4月から短時間社員を組織化して、今年で7年目になり、いまでは短時間組合員が1,750人いると報告したうえで、賃金引き上げについては、個人の能力に基づく評価によって店舗で昇給を決定する制度であったことや、アルバイトの時給にも影響する一律賃上げを経営側が嫌がったことなどから、取り組むことが難しかったが、短時間組合員の不満は時給が上がらないことにあったと報告。しかし、昨年秋に賃金制度を変更し、本人評価と店長評価、個人面談の結果に応じて1回30円、最大で500円の昇給制度を整備し、今回が新制度での最初の春闘ということで「短時間組合員は賃金引き上げに期待している」と述べた。また、短時間組合員では9割が女性であることから、女性が安心して働く環境を整備するとの趣旨から、乳がんや子宮頸がんの早期発見のため、「受診料の全額補助を要求した」と紹介するとともに、インフルエンザ予防接種の補助について(現状は店舗全従業員が対象だが補助額が500円)、申請件数が1割にとどまっていることから適用拡大を要求していると述べた。

集会ではこのほか、製造産業、流通、総合サービスの各部門長が決意表明を述べた。