介護施設の夜勤はほとんどが2交替制/日本医労連調査
(2014年2月28日 調査・解析部)
病院や診療所、福祉施設などの職場で働く労働者・労働組合でつくる産業別組織の日本医療労働組合連合会(日本医労連、約17万人)は27日、「2013年介護施設夜勤実態調査」結果を発表した。それによると、介護施設における夜勤形態は92.8%が「2交替勤務」であり、医療施設の13.2%を大きく上回ることが明らかになった。結果を踏まえ、日本医労連では3月5~6日にかけ、国会議員への要請や厚生労働省等との交渉を行い、夜勤労働の改善や介護職員等の大幅増員などを求めていくことにしている。
2交替勤務の7割以上は拘束16時間以上
調査は、日本医労連傘下の労働組合がある介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、グループホーム、小規模多機能施設、複合型施設、短期入所施設を対象に、昨年6月時点の実績を尋ねたもの。回答施設は112で、同施設の職員総数3,336人(介護職員が72.8%、看護職員が20.0%、事務などその他職員が7.2%)の勤務実態を明らかにしている。
それによると、回答施設における夜勤形態は、そのほとんど(92.8%)が「2交替勤務」(日勤+夜勤体制)だった。このほか、「3交替勤務」(日勤+準夜勤+深夜帯体制)は4.4%で、「2交替と3交替の混合」や「当直と3交替の混合」「変則3交替」がそれぞれ0.9%となった。日本医労連が同時期に行った、2013年医療施設の夜勤実態調査結果では、2交替制を実施している施設の割合は13.2%で、2交替制と3交替制の混合施設を合わせても49.0%だった。夜勤形態の9割以上が「2交替勤務」という実態は、これをを大きく上回るもの。さらに、「2交替勤務」の7割以上(73.0%)は、拘束時間が16時間以上となっており、会見した原英彦・書記次長は、「介護施設では、人手不足から長時間夜勤が当たり前になっているという、過酷な実態が浮き彫りになった」などと強調した。
「2交替夜勤」の職員配置は、例えば介護老人保健施設(回答施設の約半数)でみると、施設利用者数が「40人以上50人未満」(平均46.5人)規模の場合で、夜勤配置は平均2.5人となっている。結果を説明した米沢哲・中央執行委員は、「夜勤というと利用者が寝ているため、それほどすることはないと思われるかもしれないが、実際には排泄介助や体位交換といったケアのほか、痴呆による徘徊などにも対応しなければならない。また、熱が出た、転倒したなど救急時の対応も必要になる。介護施設の夜勤配置については、特養と短期入所は施設の利用者総数に応じた配置基準があるものの、利用者の状態や施設の構造には触れておらず、実態とかけ離れている」などと指摘した。
夜勤協定を締結している施設は7割未満
「2交替夜勤」で働く職員の月当たりの夜勤日数をみると、例えば介護老人保健施設で平均4.1回、最多12回などとなっており、全体では「4回」を超える職員が(「2交替夜勤」で働く職員計のうち)約3割(628人)にのぼっている。米沢氏は「看護師確保法では月8日以内(2交替勤務の場合、4回以内)、複数夜勤(一人夜勤禁止)を提唱しており、これが国が定める夜勤日数の最低基準と受け止めているが、介護現場ではこの水準が守られていないのが実情」などと指摘した。
夜勤体制などについて労使で協議・締結する「夜勤協定」の有無を尋ねると、無回答を除く100施設のうち「あり」が67.0%、「なし」が33.0%となり、3分の1に夜勤協定が「ない」実態が明らかになった。また、夜勤協定が「ある」場合でも、夜勤回数の協定内容が8日(2交替勤務の場合、4日)を超える施設が50.7%で、夜勤回数の上限は5回以上が半数以上を占めた。日本医労連では、「労組がある職場でも3分の1には協定がない。介護職場の9割以上が組織化されていないことを鑑みれば、介護職員の夜勤は事実上、青天井の実態にあると言わざるを得ない」(米沢氏)としている。
会見では、実際に介護職場で働く職員が現場の実情を訴えた。都内の特別養護老人ホームで働く男性は、夜勤の実態について「16:30~翌日9:30までの夜勤の間、オムツ交換を就寝前と真夜中、明け方の3回、行わなければならない。一人5分としても、利用者が50人で250分(4時間超)かかるため、休憩すらまともに取れる状況ではない」などと語り、さらに最近は一人暮らしの利用者の増加で、従来は家族に任せていたような対応等まで介護職員の過重負担になっていること、ひとたび火災など緊急事態に陥った場合、一人で果たして数十人を避難させることができるのかという不安を常にかかえていることなどにも触れ、夜勤における職員配置基準の引き上げのほか、それを裏付ける人材確保(人手不足の改善)、介護報酬の引き上げなどを求めた。