大手48組合が1%以上の賃上げを要求/金属労協・集計登録組合の要求状況

(2014年2月21日 調査・解析部)

[労使]

金属労協(JCM、西原浩一郎議長)に加盟する5産別労組の大手組合(集計登録組合)の要求内容が20日までにほぼ出揃った。55組織ある集計登録組合のうち、48組合が1%以上の賃上げを要求。JAM傘下の大手では、島津(ベア4,825円)やヤンマー(ベア4,500円)など4,000円を超えるベアを要求する組合もある。一時金では、交渉で水準を決定する33組合が要求を提出している。

JAM大手では4,000円超のベア要求も

金属労協が公表した20日現在の「集計登録組合要求・回答状況」によると、JAMでは11の登録組合のうち、8組合が19日までに要求提出を終えており、賃上げ要求額は、オークマが「構造維持分5934円+ベア4,500円」(組合員平均)、島津が「構造維持分5,761円+ベア4,825円」(同)、シチズンが「構造維持分5,871円+ベア4,567円」(同)、ジーエス・ユアサが「構造維持分5,862円+ベア4,500円」(同)、NTNが「30歳ベア4,500円」、日本精工が「35歳ベア4,400円」、ヤンマーが「構造維持分6,911円+ベア4,500円」(同)、井関農機が「30歳改善1万2,600円」となっている。

なお、JAMの産別方針では、賃上げ額は賃金構造維持分プラス4,500円で、是正が必要な場合はこれに1,500円以上を加えることになっている。ちなみに、JAMが19日にまとめた闘争状況報告をみると、要求組合数は交渉単位1,593単組のうち687単組と、1999年のJAM結成以来最高となった。このうち、ベア・賃金改善を要求した単組は485組合で、その平均額は3,982円。平均賃上げ額の同一組合比較では、前年比で2,476円増となっている。現段階の状況についてJAMでは、「各単組、地方JAMのこれまで以上に共闘を意識した準備期間における取り組みの成果」(宮本礼一書記長)とみている。

全電線傘下の大手組合の賃上げ要求をみると、5労組のうち昭和電線を除く4労組が18日に要求提出しており、古河電工が「3,030円引き上げ」(35歳技能職標準労働者ポイント)、住友電工が1.00%引き上げ(同)、フジクラが2,960円引き上げ(同)、三菱電線が1.00%引き上げ(同)となっている。全電線の産別方針では、35歳標準労働者賃金で1%以上を個別賃金方式で要求することになっている。

5カ月超が目立つ年間一時金要求

一方、一時金の要求内容をみると、基幹労連傘下では、神戸製鋼が年間150万円、三菱重工が「年間55万円+4カ月」、IHIが年間5.4カ月、住友重機械が年間5.2カ月、三井造船が年間5.0カ月、日立造船が「年間40万円+4カ月」、住鉱連が年間185万円、三井金属が年間160万円となっている。

JAM傘下ではジーエス・ユアサ(年間5.3カ月)、NTN(年間5.3カ月)、ヤンマー(年間5.5カ月)が5カ月を超える要求内容となっている。全電線傘下では、三菱電線(年間4.5カ月)を除き、5.0カ月の要求で揃っている。

賃金、一時金以外では、企業内最低賃金の協定締結やワーク・ライフ・バランスの実現、退職金の増額などに取り組んでいる。電機連合傘下では、「家族看護のための休職制度の導入」(パナソニックグループ労連)、「看護・介護休暇の時間単位取得制度の導入」(東芝)、「育児・介護短時間勤務制度の期間延長(育児:小3→小学校卒業、介護:1事例につき1カ月以上3年以内→事由消滅まで)などの要求が単組から出されている。基幹労連傘下では、川崎重工や住鉱連などが退職金増額を要求。神戸製鋼は2015年から一時金への業績連動型決定方式の導入を要求している。