月額3,000円、一時金4.3カ月を要求/JP労組
(2014年2月19日 調査・解析部)
国内最大の単一労組である日本郵政グループ労働組合(JP労組、小俣利通委員長、23万4,000人)は13、14の両日、都内で中央委員会を開き、2014春季生活闘争方針を確認した。正社員の労働条件改善では、賃金改善として組合員平均で基準内賃金の1%に当たる平均3,000円を要求。年間一時金は前年を0.3カ月上回る4.3カ月を求める。
現場を支える働く者の意欲・活力を引き出す要求を
冒頭、あいさつした小俣委員長は、取り巻く情勢について「日本郵政グループの経営状況、とりわけ日本郵便の営業収益は増加傾向にある」としながらも、「経営改善の道半ばにいるといっても過言ではなく、来年度の郵便事業を取り巻く環境は、消費増税による景気の落ち込みが懸念される要因のほかに、中期経営計画の見直しにより、中長期的な成長戦略の土台となる必要な投資を可能な限り上場前に実施することを踏まえ、会社側は株式上場に向けて一定の利益水準を確保する必要があるとして、極めて慎重な姿勢をみせている」などと説明。そのうえで、「このような厳しい情勢を踏まえつつも、株式上場に向けて企業価値を高め、事業を支える原動力は現場を支える『人』であり、その働く者の意欲・活力を引き出すためにも、正社員の一時金は『年間4.3月』を求め、月例賃金の引き上げは連合方針に基づき、正社員の基準内賃金を『一人平均1%・3,000円』を引き上げることを中心とした要求を掲げる」と述べた。
賃上げ要求は6年ぶり、特別手当は0.5カ月で決着
JP労組が正社員の賃上げを要求するのは6年ぶり。今春闘では、「賃金カーブの維持として定期昇給の確保に向け取り組む」とともに、正社員の基準内賃金を一人平均1%(3,000円)引き上げることを求める。
年間一時金は、前年の要求月数4.0カ月を0.3カ月上回る4.3カ月を要求する。一時金に関しては、2010春闘で「年間4.3カ月」を獲得後、2011春闘で郵便事業の赤字等を理由に「年間3.0カ月」に落ち込み、2012春闘も同じく「年間3.0カ月」で妥結した。ただし、この2年間は、年度予測よりも3月期の業績が上回った場合に当年度分の賞与を調整することを決めており、11年度は「特別報奨金0.2カ月」、12年度も郵便事業の営業利益が黒字転換し、目標を上回る見込みとなったことから「特別手当0.5カ月」が支給された経緯がある。2013春闘も「年間3.3カ月」で妥結するとともに、株式上場に向けたさらなる業績向上の必要性などの要素も残されていることもあり、「特別手当」の支給について継続課題の交渉を行うとしていた。
今回、「支払い能力のバロメーターとなる日本郵便の経営状況について、増加傾向にあるゆうパック・ゆうメールを中心とした営業収益と物数増加に伴う人件費などの営業費用の推移を注視しつつ、事業計画を上回る見通しが立った」(小俣委員長)ことから、最大限の支給を会社に求め、交渉の結果、経営側が「0.5カ月」の支給を決断。これに対し、組合側も「2013春闘の要求額と妥結額の乖離分をすべて埋める数字ではないが、現時点の通期見通しや年度末に向けた事業環境などを踏まえれば、思い切った経営判断」と受け止め、決着した。
JP労組は年間一時金水準の早期回復を「生活防衛・向上の観点から最優先課題」と位置づけており、2014春闘では年間一括妥結をめざす。
期間雇用社員の処遇改善やワークルールの確立も
一方、格差是正に向けた期間雇用社員の処遇改善も要求の柱に据えており、 (1) 正社員登用のさらなる促進 (2) 月給制契約社員のベースアップ (3) 時給制契約社員の時給単価引き上げ (4) 休暇制度・福利厚生制度の改善――などを要求する。
このほか、生活関連手当の改善や総労働時間の縮減、改正労働者派遣法・改正労働契約法・改正高年齢者雇用安定法にもとづく法令遵守の徹底とワークルールの確立にも取り組む。