労使トップが会談し、2014春闘がスタート/連合と経団連

(2014年2月7日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)と経団連(米倉弘昌会長)は2月5日、都内で懇談会を開き、これから本格化する春季労使交渉をめぐって意見交換した。米倉会長は「企業業績の改善が賃金の引き上げにつながる経済の好循環を創り出すべく引き続き努力する」との姿勢を表明。一方、連合の神津里季生事務局長は「月例賃金と底上げにこだわる。労使の真摯な交渉議論のなかでどういう解を導き出していくかが問われている」などと述べ、賃上げに強い意欲を示した。今後、3月12日の大手の集中回答日に向けて労使交渉が本格化する。

競争力強化と持続的成長の実現が労使にとって重要/米倉会長

冒頭、米倉会長は 「労使が一致協力して新たな成長を生み出し、広く国民に豊かさをもたらすことこそが、いま民間企業に求められている」とあいさつ。「企業業績の改善が投資の拡大や雇用の創出、さらに賃金の引き上げにつながる経済の好循環を創り出すべく引き続き努力する」との姿勢を示すとともに、「今年の春季労使交渉には例年以上に関心が高まっているが、労働条件だけではなく、会社のさまざまな経営上の課題について、中・長期的な観点から建設的な対話を進め、競争力の強化と持続的な成長の実現につなげていくことが、各企業の労使双方にとって非常に重要だ」などと述べた。

月例賃金と底上げにこだわる/神津事務局長

これに対し、神津事務局長は「月例賃金にこだわり、底上げにこだわる。それぞれの労使における真摯な交渉議論のなかでどういう解を見いだしていくか。とりわけ今年は日本経済の行方をどう導いていくかが大きく問われている」と賃上げへの意欲を強調したうえで、「働く者一人ひとりへの明日への信頼の証が月例賃金に込められている。その一方で、底上げにこだわるのは1997年以降、格差が拡大してしまったことがデフレの大きな一因となった。それをどう反転させていくか。中小企業で働く人々、非正規という形で働く人々への成果配分についても重きを置いて欲しい」などと訴えた。

写真・連合事務局長発言

それぞれの副会長などを交えた意見交換では、連合側がすべての生活の基礎である月例賃金の引き上げや格差是正、非正規雇用労働者の処遇改善などの春季交渉に向けた問題意識をついて主張したのに対し、経団連側は、デフレ脱却や経済の好循環の実現に向けた認識についての前向きな発言はあったものの、その方法はベースアップだけではなく多様な方法で賃上げを行っていく考えを示すとともに、それぞれの企業の抱える課題について労使で認識の共有を図っていく必要があるなどの考えを示した。

なお、連合の古賀会長はインフルエンザのため会談を欠席した。