ベア3,700円を統一要求/私鉄総連拡大中央委員会

(2014年2月5日 調査・解析部)

[労使]

大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(藤井一也委員長、11万4,000人)は4日、都内で第2回拡大中央委員会を開き、2014年春季生活闘争方針を決めた。賃上げの統一要求では、月額基本給一人平均2.0%(定期昇給相当分)に加え、3,700円(ベースアップ分)の引き上げを求める。

藤井委員長はあいさつの中で、経団連が2014年春闘における経営側の交渉方針として示した「経営労働政策委員会報告」(経労委報告)の内容についてふれ、「ベースアップを容認しているものの、『自社の支払い能力に基づき、判断・決定するのが原則』とするなど賃上げに慎重な姿勢を崩しておらず、従前との違いが感じられない」と批判した。

そのうえで、2014年春闘にのぞむ姿勢として、「経営側に対する政府の賃上げ要請に頼るのではなく、自らの要求に自信と責任を持ち、組合員の気持ちを一つに集めた『組織の力』を背景に粘り強い交渉をすべき」ことを呼びかけた。

私鉄・バス組合の統一要求では、各組合員の現行基本給を一人平均で、定期昇給相当分(賃金カーブ維持分)2.0%プラス賃金改善原資3,700円(ベア分)の引き上げを求める。ベア分については、景気回復を踏まえ、昨年より1,200円増額した。

賞与については、賃金の後払い的性質を有することをふまえ、生活防衛、年間収入確保などの観点から、2013年度の協定月数の堅持を求めるとともに、年間5カ月に満たない組合については、5カ月分を要求する。

一方、ハイヤー・タクシーの専業組合は、基本給を一人平均2.0%(定昇相当分)プラス3,700円(ベア分)の引き上げを求める。賞与は、年間5カ月分を基本目標とする。出来高制の賃金体系を取っている組合については、固定給中心の賃金の確立をめざす。

契約社員やパートなど非正規雇用で働く従業員の時間給については、昨年の要求を20円上回る50円を要求することも決めた。

要求提出日は10日とし、交渉のヤマ場、戦術配置は28日開催予定の中央闘争委員会で決定する。スト権の確立については、2月中旬以降、全組合員による投票を実施し、結果を踏まえて可否を決める。

委員会では、今後の交通政策要求の実現に向けた要請項目も決定した。公共交通網の確保や国、自治体、事業者の責務・連携など、交通分野の基本理念をうたった「交通政策基本法」が昨年12月に成立したことから、同法15条で交通に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、政府が定めるとされている「交通政策基本計画」の早期策定を求める。