フード連合は「10,000円基準」/賃上げの統一要求を決定

(2014年1月29日 調査・解析部)

[労使]

食品製造業を中心とした労働組合でつくるフード連合(松谷和重会長、10万4,500人)は27日、都内で中央委員会を開き、今春闘の賃上げ要求について「10,000円基準」を掲げて、産別統一闘争を取り組むことなどを柱とする闘争方針を決めた。

製造業最下位にある賃金水準、「引き上げがますます重要」

闘争方針では、食品労働者の賃金水準について、10年前に比べて、加盟組合の基準内賃金の水準は約1万円以上ダウンしているだけでなく、厚労省の賃金構造基本統計調査によると、2012年の食品製造業(飲料たばこ飼料を除く)は製造業の23業種中、最下位にまで下がっていることを指摘。そのためフード連合として、「賃金水準の引き上げがますます重要である」と強調する。

具体的な賃上げ要求については、まず、「すべての組合が生活の基盤である月例賃金について、底上げ・底支えや格差是正を図るために、『統一要求基準』を設定し、ベア要求に取り組む」とした。そのうえで、統一要求として、「10,000円基準」(定期昇給相当額・賃金カーブ維持分に加え、ベア・賃金改善等の賃金引き上げを含む)を打ち出した。

フード連合の2013年賃金実態調査を踏まえた算定基礎額(平均)については、29万3,815円×(賃金カーブ維持分1.90%+ベア分1.5%)=9,990円となることから、統一要求基準として10,000円を設定。なお、1人当たり1歳間差額は5,534円(1.90%)としている。

また、非正規雇用の「底上げ、底支え」「格差是正」を進めていくことが必要であることから、30円目安の時給の引き上げを重点項目とした。加えて、正社員との均等・均衡処遇をめざす観点から、昇給ルールの導入・明確化の取り組みを強化する。

雇用安定に関する項目として、 (1) 社員への転換ルールの明確化・導入・促進 (2) 無期労働契約への転換促進を盛り込んでいる。

一方、労働時間の短縮については、2015年3月までに2,000時間未満をめざす「時短2,000ゼロ」の取り組みを進めるとしており、年間所定労働時間2,000時間以上の組合は、年間休日数116日以上(1日8時間の場合)の合意を要求する。

農薬混入事件で発言も

マルハニチロホールディングスの子会社アクリフーズが製造した冷凍食品から農薬が検出された事件について、フード連合傘下のマルハニチロユニオンが、「会社に対するチェック機能が働かなかったことは、組合も反省しなければならない。すべての労働者が働きやすい環境整備に努めていきたい」などと発言した。これを受け、山本健二事務局長は「食品産業全体の課題として、議論し、乗り越えていきたい」と述べた。