誰でも時間給120円以上、月額1万6,000円以上を要求/国民春闘共闘

(2014年1月22日 調査・解析部)

[労使]

全労連や中立労組などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、大黒作治全労連議長)は1月17日、都内で第1回単産・地方代表者会議を開催し、2014年国民春闘方針を確認した。「ベア獲得」にこだわる春闘として、4月からの消費税増税の賃金へ影響を上乗せした「時間給120円以上、月額1万6,000円以上」の統一賃金要求額を掲げ、その確立を単産、地方組織に呼びかけた。

消費税による実質賃金への影響分を要求に組み込む

14春闘は、すべての組合が「ベア要求」を掲げ、「ベア獲得」にこだわり、すべての労働者の賃上げをめざすたたかいと位置づけ、大幅賃上げを前面に掲げる方針となっている。

柱となる賃上げについては、「働くみんなの要求アンケート」にもとづく、これまでの底上げ要求(「誰でも時間額100円以上、月額1万円以上」)を基本としたうえで、4月からの消費税増税による実質賃金への影響分(2%)を上乗せした「誰でも時間額120円以上、月額1万6,000円以上」(平均所定内賃金約30万円で計算)を統一賃金要求額に掲げた。

最低賃金の要求目標については、時給1,000円を基本に、法定労働時間との整合性や民間初任給をにらみながら、「時間額1,000円以上、日額8,000円以上、月額17万円以上」を確認。年収、月収ベースでの賃金改善を重視することから、すべての労働組合が最低賃金「時給1,000円実現要求」を掲げる。

そのほか、加盟各組織で実施した「最低生計費試算調査」の結果をもとに、単身単収の20歳代半ばで「月額23万円」、世帯形成期である30歳代半ばで「月額35万円」を到達目標額として提起し、各単産、地方組織で議論を呼びかけるとともに、初任給引き上げ要求を強めることも提起した。

安定した雇用実現の取り組みも

賃上げ以外では、労働法制の見直しについて、「安定した良質な雇用実現」「無期継続雇用(=正社員)が当たり前」の要求を対抗軸に、次期通常国会に提出が予定される改正労働者派遣法阻止の一点での共同を産別と地域の双方で広げるとともに、パート労働法の実効ある改正を求め、取り組みを強化する。10月に結成した「雇用共同アクション」での共闘を強め、全国的な広がりをめざすとともに、公契約条例、公契約法の制定を求める全国的な運動の展開、電機産業などのリストラに反対する運動、「若者にまともな雇用を、ブラック企業をなくせキャンペーン」などの取り組みも展開。春闘のヤマ場に向け、賃金要求の前進をめざすとともに、労働法制見直し反対や改憲阻止などの国民的課題も掲げた幅広い行動に取り組む方針を確認した。

質疑・討論では、「中央委員会に向け、正職員4万円以上で議論を進めている」(日本医労連)と大幅賃上げを掲げる単産の声があがる一方、「現場には非正規も多く、格差拡大で反感を買うこともあることから、1万3,000円基準で月末の委員会に提起する」(映演労連)などの意見もあがった。そのほか、「現場ではたたかう力が失われている。職場の仲間が立ち上がらなければ、春闘にならない。職場に足を運ぶ春闘にしたい」(神奈川春闘共闘)との声もあった。