1%以上のベアに加え「1%程度」の格差是正原資を/JEC連合中央委員会
(2014年1月17日 調査・解析部)
化学・エネルギー関連産業の労組でつくるJEC連合(16万5,000人、永芳栄始会長)は16日、東京都内で第8回中央委員会を開き、1%以上のベースアップに加えて格差是正のための1%程度の原資確保――などを柱とする今春の賃金交渉方針を決定した。傘下の組合は、2月末までに要求を提出。3月第3週を解決に向けた回答ゾーンに設定し、集中回答日を3月12日としている。
あいさつした永芳会長は、現在の経済環境について、「金融緩和や公共投資だけではデフレ脱却に導くことは困難。日本経済は持続的な成長には至っておらず、消費税増税後に消費が低迷し、景気が急速に落ち込むことも懸念されている。政府の対策は、企業向けは手厚いが、家計への配慮が充分とはいえない」と分析。今春の賃上げ交渉について、「消費税増税を乗り越え、デフレから脱却するため、今まさにそのための覚悟と実践が求められている。2014春季生活闘争は、労使の社会的責任が問われており、オールジャパンで日本経済を好循環につなげていく道のりのスタート」と位置づけながら、「私たちが覚醒し実践しなければ、デフレ脱却、持続的な日本経済の成長と社会の実現は遠のくばかりだ」と強調した。
定昇のない組合は賃上げ要求基準を「7,500円以上」に
賃上げ方針は、定期昇給・賃金カーブ維持分の確保を前提とし、物価上昇相当として1%以上のベースアップ・賃上げを要求するとともに、配分のゆがみを是正し、賃金水準を回復させるために1%を目安として配分を得ることに取り組むとしている。「配分のゆがみ是正のための配分」については、 (1) 賃金カーブのゆがみの是正 (2) 諸手当のみなおし (3) 過去の積み残し分の補填(賃金カットや定昇凍結の復元など) (3) 格差是正・均等処遇原資(非正規労働者・雇用延長者の処遇改善)――などから、状況に応じて取り組む考えだ。
定期昇給制度がないところでは、賃金実態調査を踏まえて、定期昇給相当分(1歳1年間差)を5,000円と過年度物価上昇分(1%相当)2,500円を合わせて賃上げ要求基準を7,500円以上とし、賃金水準や格差の状況に応じて、格差改善に取り組む組合はさらに2,500円を要求する。
また、30歳・勤続12年、35歳・勤続17年の個別賃金水準について、先行水準、標準水準、最低水準を設けており、標準水準では30歳27万2,500円、35歳31万7,200円などとなっている。
年齢別最低保障賃金の協定化で格差是正を
一時金については、ミニマム要求基準を年間4カ月と設定。業績連動方式で固定部分を持つところについては、固定部分の4カ月以上への引き上げを求めるとしている。
そのほか、非正規労働者の正社員登用の事例なども見られることから、格差是正の取り組みとして、20歳、25歳、30歳、35歳、40歳の勤続0年の初任賃金を「年齢別最低保障賃金」として設定して、すべての組合で協定化を目指すとしている(20歳:16万3,800円、25歳:18万1,500円、30歳:19万6,100円、35歳:20万7,800円、40歳:21万6,600円)。
交渉の進め方については、要求提出を2月末までとし、連合での共闘方針に基づいて、第3週(3月10日~16日)を解決に向けた回答ゾーン(第1先行組合回答ゾーン)とし、3月12日を集中回答日としている。これに続く組合は3月17日~23日を回答ゾーンとし、3月19日、20日を集中回答日と設定(第2先行組合回答ゾーン)。さらに遅れる組合は3月24日~4月11日を回答ゾーン(第3回等ゾーン)とし、遅くとも4月内での決着を目指すとしている。
論議では、「各単組の要求、妥結状況などの情報が遅い。共闘を進めるため、情報共有の取り組みをさらに強めるべきだ」(富山化学)などの意見が出た。