50万人組織への拡大めざす運動方針を決定/JAMの定期大会

(2013年9月4日 調査・解析部)

[労使]

中小の金属や機械関連の企業別労組を多く抱える産業別労組、JAM(眞中行雄会長)は8月29、30の両日、静岡県熱海市で定期大会を開催し、「2014・2015年度運動方針」を決定した。1999年の結成時に47万人弱いた組合員数が約36万人にまで減少していることから、方針のなかで、「アタック50」と称する新たな組織拡大戦略を提起。6年後の2019年に、50万人組織とすることを目標とする。

結成時から10万人弱の組織人員減に

JAMは、1999年にゼンキン連合と金属機械の2組織が統合して結成された。結成時の組合員数は46万7,000人と50万人近かったが、バブル経済の崩壊以降の長期不況のなかで企業閉鎖・倒産などで脱退・解散する組合も多く、2012年時点の組合員数は35万5,000人にまで縮小した。

一方、結成以来の新規加盟の状況をみると、2012年までの13年間で新たに加盟したのは3万3,844人で、大手企業労組の系列関連労組の新規加盟がそのうちの約半数を占める。組織化に向けた情報不足やオルガナイザーの質・量両面での不足から、地方でのターゲット組織・企業の組織化実績は「近年極めて少なくなっている」(運動方針資料)のが現状という。また最近は、組合役員のなり手がいないことや、「JAM加盟のメリットを感じられない」などの理由から脱退する組合の多さも目立っており、約100人をオルガナイザーとして配置しているものの、日常的なオルグ活動の範囲では限界が生じていた。

そのため運動方針は、50万人組織をめざす「アタック50」と称する新たな組織拡大戦略を提起。方針はアタック50について、「JAMがめざす社会の実現に向けた今までとは次元の違う組織拡大方針であり、1,000万連合実現プランに呼応するJAMの決意」だと強調。実現に受けては、「組織拡大推進体制の強化と計画に基づいた着実な遂行により組織拡大を実現していく」としている。

取り組みの具体策としては、 (1) 大手・中堅企業を中心とする系列関連企業の組織化、 (2) 有期雇用契約従業員(再雇用・パートタイマー・嘱託ほか)の組合員化、 (3) 産別未加盟組織・業種別共闘に結集する中立組合の加盟、 (4) 未組織事業所・業種別共闘に結集する中立組合の加盟、(5) 中小ものづくり産業の結集軸の追求――の5つの柱を打ちだした。2013年7月に集約した組織内調査で、いまだ多くの関連企業が未組織であることが判明したこともあり、大手労組を含めて取り組みを強化する。定年後の再雇用者については、すべての構成組織で組合員とすることをめざす。また、今後は機械や金属にとどまらず、「ものづくり産業労働組合」として「他産業における中小労働運動の再構築も視野に入れた新たな結集軸の可能性を追求していく」として、カバーしていく業種範囲の拡大も示唆した。

組織体制では、組織拡大を最重点課題として位置付け、「JAM組織拡大推進本部」を本部内に設置。推進本部が情報を一元管理し、ターゲットの設定や組織拡大行動の進捗状況の把握も行う。

大会で挨拶した眞中会長は、「『アタック50』を合言葉に、連合と連携をとりながら、機械金属産業を中心とした働く仲間を組織化し、労働条件の改善をはじめとする具体的な活動を展開して、JAMとして精一杯取り組む」と強調した。

2014春闘では「社会的責任を果たす」(眞中会長)

眞中会長は、挨拶で2014春闘についても触れ、「問題は2014年春闘をどう取り組むかということだが、いま連合本部・金属労協もラフな討議を始めている。輸入材を中心として消費者物価が若干上昇を始めているし、政府やエコノミストからは正確な意味はともかく『賃上げ』をという報道もあるので、労働組合としては組合員の生活、企業環境など、これまでと同様に総合的な視点から検討し、社会的責任を果たしていかなくてはならない」と述べ、様々な角度から検討して要求を組み立ていく考えを明らかにした。

役員選挙が行われ、眞中会長、宮本礼一書記長は再任された。