国家公務員の給与削減撤回の取り組み強化/国公労連定期大会

(2013年9月4日 調査・解析部)

[労使]

日本国家公務員労働組合連合会(宮垣忠委員長、約8万人)は8月29日から3日間、都内で第59回定期大会を開いた。国家公務員の給与削減の根拠となる給与改定・臨時特例法の即時廃止を最重要課題とする労働条件改善のほか組織の強化・拡大を柱とする向こう1年間の運動方針を確認した。

向こう一年の運動の重点課題として、 (1) 「誰もが安心して働き続けられる社会」をめざす運動と協力・共同の推進、 (2) 民主的な行財政・司法確立に向けた「21世紀国公大運動」の推進、 (3) 賃金改善など国公労働者の労働条件改善と権利を守るとりくみの推進、 (4) 国公産別組織と機能を強化・拡大するとりくみの推進――を提起した。

特例法の即時廃止、少なくとも延長及び恒久化は阻止

このうち、賃金改善など労働条件改善の取り組みでは、当面する最重要課題として「給与改定・臨時特例法」の即時廃止をあげる。同法により昨年4月から2年間、国家公務員の給与が平均7.8%カットされているが、すくなくとも賃下げの「延長」や「恒久化」を阻止するため、実力行使態勢の確立も含め、職場からの議論を深めることを強く求めた。

運動方針を提起した岡部書記長は、国公労連が昨年5月に提訴した「公務員賃下げ違憲訴訟」について、「訴訟は年内結審、年度内判決の見通し。勝利判決を勝ち取り、賃下げの流れに歯止めを掛けたい」と強調。勝利判決に向けた世論構築をはかり、自治体や国立大学等の労組との共同闘争を広げる方針だ。その他、労働条件改善の取り組みでは、社会保険庁職員の解雇撤回闘争勝利と職場復帰、高齢期にふさわしい賃金水準の確保、再任用制度の改善と定年延長の制度化などをあげた。

「誰もが安心して働き続けられる社会」の取り組みでは、政府の成長戦略には労働法制のさらなる規制緩和が盛り込まれ、社会保障改悪、消費税増税、原発再稼動、TPP参加など、労働者や国民を犠牲にする姿勢が鮮明になっているとして、加盟する全労連がすすめる「安全・安心をめざす大運動」に結集するとともに、めざす社会のあり方についての議論を職場や地域で広げていく。重点的な取り組みとして、最低賃金の引き上げ、公契約法・条例の制定、働くルールの確立と規制緩和阻止、良質な雇用の確保、均等待遇の実現などをあげている。

民主的な行財政・司法確立に向けた取り組みでは、政府が自助・自立を前面に打ち出し、公務・公共サービスを切り捨て「小さな政府」づくりに躍起になっているとして、総定員法と定員合理化計画の廃止、地方分権改革や道州制反対、公正・中立な公務員制度の確立、憲法と国際条約に沿った労働基本権の回復を訴える。政府の様々な改革が国民の生活と権利に与える影響を明らかにするため「第4回行政研究交流集会」を11月15日に開催。ここでの成果を「民主的行財政改革に向けた提言(仮称)」としてとりまとめ、内外に発信して対話と共同を広げる方針だ。

役員改選では、宮垣委員長(国交労組)は再任され、新書記長に鎌田一氏(全労働)が就任した。国公労連は1府7省(内閣府と総務、法務、財務、文部科学、厚生労働、経済産業、国土交通の各省)と人事院や裁判所など国公関連労働者で組織する産別労働組合。