労使交渉の強化、格差是正などを軸に/自治労が新運動方針を決定

(2013年8月30日 調査・解析部)

[労使]

地方公務員、公共民間の労働者などでつくる自治労(82万人)は26~28日に大阪市で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針・当面の闘争方針、本部の新役員体制を決定した。新運動方針の柱として、「持続可能な社会にむけた政治勢力の再構築」「自律的労使関係の確立と労使交渉の強化」「公務職場の格差是正と労働法制の適用」などを掲げた。役選では、徳永秀昭委員長の後任に氏家常雄書記長(東京都本部)、書記長に川本淳書記次長(北海道本部)を選出した。

写真・自治労第86回定期大会

給与削減「あり」と「なし」が拮抗(自治労調査)

新しい運動方針で設定した重点課題で、政治勢力の再構築については、「共生と連帯に基づく持続可能な社会」を実現するため、「民主党など協力政党を中心に具体的な政治勢力の再構築をめざし、取り組みを進める」としている。

また、公務員制度改革における労働基本権確立のめどが立たず、加えて、自治体に対する国に準じた給与削減が政府から要請されていることを踏まえて、「自律的労使関係の確立と労使交渉の強化」も重点課題に掲げた。国による国家公務員に準じた給与削減要請を受け、その流れを地方公務員に波及させないために取り組んだ産別統一闘争により自治労の集計によると、自治体単組1,629組合のうち7月24日現在、「削減なし」で妥結が743組合(45.2%)、「削減あり」で妥結または交渉終結が751組合(45.7%)となった。削減ありの内訳をみると、「国の要請どおり」が25組合(1.5%)、「何らかの緩和措置」が721組合(43.9%)、「国の要請以上」が5組合(0.3%)となっている。なお、「独自カットの継続等」で妥結も41組合(2.5%)あった。

こうした結果を踏まえ、冒頭のあいさつで徳永委員長は、成果があったのは、「各単組の粘り強い交渉のたまものだ」と評価。その一方、「単組の組織力、現場力を強化し、単組力量を向上させていかねばならないことを痛感した。そのためには、要求書の作成・提出、粘り強い交渉、そして妥結・書面協定の取り組みを積み重ねていくこと」が求められると強調した。

臨時・非常勤の組織化と処遇改善・均等待遇の前進を

自治体で働く臨時・非常勤等職員は70万人を超え、その数は年々増加しており、「官製ワーキングプア」として社会問題化している。こうした現状を踏まえ、重要課題のひとつに、「公務職場の格差是正と労働法制の適用」を設定した。徳永委員長はあいさつで格差是正に向けては、「非正規労働者の処遇改善、正規と非正規の均等待遇にむけた取り組みをもう一歩前進させて、具体的な問題解決を図っていく以外に方法はない。そのためには非正規職員の組織化しかない」と指摘した。

自治労調査によると、2003年から2012年の9年間で組織人員は約17万人減少。自治体単組における組織率も75.7%から5ポイント減の70.7%に下落した。その主な要因は正規職員の削減と非正規への置き換えがある。自治労の非正規労働者の組織率は2012年で6.8%にとどまっていることから、臨時・非常勤職員の組織化は、大会で確認した新「組織拡大アクション21」でも重点項目となっている。

なお、この間自治労などの働きかけにより、非常勤職員に対して、一時金などの手当を支給できるようにするための「地方自治法の一部を改正する法律案」が、民主党をはじめとする6野党共同で議員立法として5月下旬、参院に法案提出された経緯がある。