若者の使い捨て企業対策を強化/厚労省

(2013年8月9日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省は8日、若者の「使い捨て」が疑われる企業(いわゆるブラック企業)等が、社会で大きな問題となっていることを受け、 (1) 長時間労働の抑制に向けた集中的な取組み(9月を「過重労働重点監督月間」に設定し、集中的に監督指導等を実施) (2) 9・1全国一斉の電話相談をはじめとした相談対応 (3) 職場のパワーハラスメントの予防・解決の推進――を柱に、対策を強化する方針を発表した。

9月を「過重労働重点監督月間」に設定

同方針は、田村厚労相が閣議後の記者会見で、「(日本再興戦略にある)若者の活躍推進の観点から、若者の『使い捨て』が疑われる企業等への取組みを強化しなければならない」などと述べ、いわゆるブラック企業に対する懸念を表明したことを受けたもの。

方針の一つ目の柱である、「長時間労働の抑制」に向けては、9月を「過重労働重点監督月間」に設定。労働基準監督署やハローワーク利用者等からの苦情、通報等を端緒に、離職率が極端に高いなど、若者の「使い捨て」が疑われる企業等を把握し、集中的に監督指導を実施する。同省では昨年、13万4,295件にのぼる定期監督等を実施しているが、今回は同期間中だけで約4,000件を予定しているという。

「時間外・休日労働が36協定の範囲内であるか」「賃金不払残業(サービス残業)がないか」について重点的に確認し、法違反が認められれば是正指導する。また、長時間労働者については、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導していく。監督指導の結果、法違反の是正が図られない場合には、是正が認められるまで、ハローワークにおける職業紹介の対象とはしない措置も行う。

同省では「これまでも、過重労働があり労働基準関係法令違反の疑いがある企業等に対する監督指導は行ってきたが、離職率が極端に高いなどの点に着目して監督指導を集中的に行うのは初めて」としている。

このほか、従来からの取組みに引き続き、過労死等の事案を起こした企業等については、再発防止の取組みを徹底する。

また、重大・悪質な違反が確認された企業等については送検し、公表していく。

9月1日に全国一斉の「電話相談」を実施

二本目の柱である「相談対応」については、労働基準法の施行日である9月1日の日曜日に、全国8ブロックで電話相談を実施する。相談は9~17時の間、100回線(予定)体制で受け付ける(電話番号は、共通でフリーダイヤル0120-794-713)。相談をもとに、労働基準関係法令違反が疑われる企業等を把握し、監督指導を行っていく。

また、9月2日以降も「総合労働相談コーナー」や「労働基準関係情報メール窓口」で相談・情報を受け付けるほか、「新卒応援ハローワーク」でも相談体制を強化する。

このほか、三本目の柱となる「パワハラの予防・解決」に向けては、パワハラ対策の必要性等を説明したリーフレット等を作成し、全国の行政機関等で掲示・配布するほか、企業の人事労務家等を対象とした全国規模のセミナーも実施する。さらに、パワハラ対策の好事例集等も作成しながら、周知していくことにしている。