非正規の賃上げや正社員化で成果も/2013国民春闘共闘の春闘中間総括

(2013年6月28日 調査・解析部)

[労使]

全労連や純中立労働組合懇談会、地方共闘組織などでつくる共闘組織、「2013国民春闘共闘委員会」(代表幹事:大黒作治・全労連議長ら)は27日、第2回単産・地方代表者会議を開催し、「2013春闘の中間総括」を確認した。非正規労働者の賃上げでは、高い水準の回答が続いていると評価。制度要求面では、労働関係の法改正に関連して、有期労働者の正社員化や無期化、定年延長の成果などの実績が報告された。

定昇のみが8割

国民春闘共闘委員会に参加する全労連の主な単産は、建交労やJMIU、生協労連、国公労連などで、純中立単産には全農協労連や化学一般労連などがある。中間総括によると、6月5日現在で調査対象組合の69.7%にあたる2,568組合が要求書を提出。そのうち、ストライキ権を確立した組合が51%(1,371組合)で、回答を引き出した組合が61.2%(1,568組合)となっている。

回答組合のなかでベアを獲得したのは107組合で前年より26組合多い。その一方で、定昇凍結の組合は26組合と前年から10組合減少した。定昇がある組合でベアゼロ(定昇のみ)となったのは608組合で、全体のほぼ8割となっている。

5日までに妥結した組合は839組合。ストライキを実施した割合は11.3%(323組合)で、前年を2ポイント(46組合)上回っている。主な単産のスト実施率をみると、通信労組が100%、JMIUが58.8%、映演労連が37.5%、全印総連が25.2%などとなっている。

賃金の回答状況については、3月14日時点で単純平均で5,600円以上の水準を確保し、前年を500円以上上回る出だしとなったが、5月末集計時点ではほぼ5,400円の水準に落ち着いている。ただ、水準自体は前年を上回っている。一方、加重平均も前年を上回る水準で推移しており、「久々に6,000円を超える」(小田川義和事務局長)展開となっている。

非正規の賃上げ、医労連では50円以上

非正規労働者の賃金回答については、「2012年春闘と比較し、時給換算で、高い水準の回答が当初から行われ、非正規労働者の賃上げが重視されたと思える状況が続いてきた」とした。5月末時点で、日本医労連が時給換算で52円、福祉保育労、自治労連・関連が30円などという回答状況になっているという。

夏季一時金の回答状況は、251組合の単純平均で64万4,734円で、前年同期を9,957円上回った。

一方、制度面での獲得状況をみると、改正労働契約法への対応として、有期労働者の正社員化や無期雇用化など雇用確保に関する要求は35組織(39件)で行われ、JMIU(3件)や全労連全国一般(2件)、福祉保育労(2件)などの組織で獲得し、要求が通った件数の合計は14件となった。有期雇用の無期転換については、生協労連を中心に実現が図られたとした。

自交総連などで定年延長を実現

改正高年齢者雇用安定法に関連しての定年や雇用延長制度における改善要求では、45組織(48件)で条件改善を獲得。自交総連や全倉庫、福祉保育労では定年延長を実現した。

中間総括の討議では、単産など22組織から取り組みの現状などが報告された。「ベアを勝ち取ることの意思統一を図り、会議開催時期なども工夫してベア要求組合を増やすことができた」(日本医労連)、「ユニオン組合員の職場だが、女性が多いある職場で女性用トイレの増設を獲得した」(出版労連)、「あるブラック企業で、会社が妨害するなかでもワッペン闘争を継続し、春闘でのストライキ実施につなげた」(JMIU)、「佐世保市の運送会社の一方的な廃業通告と闘っている」(長崎県)など、春闘要求から解雇、事業所閉鎖問題などまで、幅広いテーマに関する発言があった。