19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」を改訂/厚労省

(2013年6月19日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省は18日、「職場における腰痛予防対策指針」を改訂したことを公表した。指針の改訂は19年ぶり。新指針は、腰部に著しい負担のかかる、「抱きかかえ」を原則として禁止するとともに、腰痛が多発している社会福祉施設における介護作業にも適用を拡大した。厚労省は同日付け介護福祉関係団体にも通知を出し、指針の周知徹底を図る。

今回、指針を改訂した背景には、介護現場における腰痛発生件数が大幅に増加していることがある。2000年4月に介護保険制度がスタートして以降、介護労働者は1.7倍程に増加しているが、腰痛労災はそれを上回るペースで増加している。社会福祉施設における休業4日以上の腰痛の件数をみると、2002年は363件だったのに対し、2011年は過去最高の1002件を記録した。

こうした状況を踏まえ、厚労省では今年1月から有識者を交え、検討会を開始。検討会では、社会福祉施設における腰痛予防対策などが議論され、腰痛がもっとも多く発生するのは入浴介護時の移乗中で、とくに単独作業中であることが明らかとなった。こうした検討結果を踏まえ、広く職場における腰痛の予防を一層推進するため厚労省は19年ぶりの全面改訂に踏み切った。

新指針では、高齢者介護施設において腰痛が多発していることを踏まえ、適用範囲を拡大。従来の「重症心身障害児施設等における介護作業」から「福祉・医療等における介護・看護作業」まで広げた。併せて、ベッドから抱きかかえるなど、腰に著しい負担がかかる移乗介助は、原則として、人の力で抱き上げることを禁止し、リフトなど介護機器の活用を求めた。また、やむを得ず人力で抱きかかえなければならない場合には、「できるだけ適切な姿勢にて身長差の少ない2名以上で作業すること」と明記し、きめの細かい予防策を講じるよう求める。

厚労省は18日付けで改訂指針を都道府県労働局、関係団体、関係行政機関などに通知し、周知徹底を図る。併せて、今年度は社会福祉施設に対する指針の普及・定着を進めるため、介護事業者を対象とした腰痛予防対策講習会の開催などの支援事業にも力を入れる。

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~19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」を改訂~
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