50万組織に向けた新組織化方針を策定へ/JAMの中央委員会

(2013年5月29日 調査・解析部)

[労使]

金属や機械関連の中小労組を多く組織する産別組織、JAM(眞中行雄会長、約36万人)は、50万組織をめざす新たな組織化方針を今夏打ち出す。大手・中堅企業による系列関連の組織化や、有期雇用契約従業員の組合員化に力を注ぐほか、産別未加盟組合に対してJAM加盟を働きかける。28日の中央委員会で確認した「2014・2015年度運動方針骨子」で明らかにした。

骨子によると、組織化戦略の名称は「アタック50」。1999年にゼンキン連合と金属機械が組織統合して結成されたJAMの結成当時の組合員数は48万人(JAM公表ベース)だったが、企業の倒産による組合の解散などにより、組合員数は年々減少。現在は36万人(厚生労働省調査ベース)にまで縮小し、組合財政にも影響を与えている。

そのため、新たな組織化戦略によって減少に歯止めをかけ、反転拡大をめざすことにした。ナショナルセンターの連合(約670万人)も新たな組織方針「1,000万連合実現プラン」を打ち出しており、骨子はアタック50について、「今までとは次元の違う組織拡大方針であり、1,000万連合実現プランに呼応するJAMの決意」だと強調する。

具体的な取り組みは、5つの領域にわたる。まず1つは、大手・中堅企業が、自分たちの系列企業や関連企業の組織化に取り組む。2つめは、有期雇用契約従業員の組織化で、その対象は定年後の再雇用者やパートタイマー、嘱託社員など。3つめは、産別に加盟していない組合も多く参加する業種ごとのネットワーク組織である「業種共闘」に結集している組合へのJAM加盟を図ること。JAM傘下の単組も参加する業種共闘は、30ほどあるという。当該業種の中核企業でも産別未加盟の組合が、参画しているケースがある。4つめの領域には、これまでも取り組んできた未組織事業所・企業の組織化をあげた。5つめには、例えば工業団地や企業集積地とのネットワークを構築して、そこからそこに集う企業の組織化につなげていく方策を掲げた。

一方、現在の35万人(JAM公表ベース)の組織規模を守る取り組みも実行する。この取り組みを「プロテクト35」と命名する。JAMでは、結成以来この13年間で、「JAMの必要性を感じない」ことを理由に脱退した組合や、組合員からの「労働組合不要論」によって解散した組合が89組合(約2万4,700人)あったという。そのため、本部・地方、地協・単組が連携しながら、日常活動の強化などを実践する。

骨子をもとに、今後、運動方針案の肉付けを行う。運動方針は、8月下旬に開く定期大会で正式に組織決定する予定だ。

平均の賃上げ妥結額は4,342円

28日の中央委員会では、このほか、「2013春季生活闘争中間総括」を本部が報告し、確認された。平均賃上げの状況をみると、回答額は4,287円で、妥結額は4,342円。水準はほぼ昨年並みとなっている。改善分がある組合の改善分の平均額は1,080円。一時金の獲得月数は半期の平均が1.92カ月。年間の平均は4.19カ月となっている。

今春闘では、統一要求日における要求提出状況が近年でもっとも悪く、統一要求日での提出率が16.8%にとどまったことから、中間総括は、「統一要求日における要求の集約に向けた取り組みを強化する必要がある」とした。一時金では、大手と中小の格差がますます広がっている状況にあることもあり、「1~99人規模での年収の回復が遅れていることを厳しく受け止め、月例賃金の取り組みと合わせた所得改善の取り組みを期す必要がある」と総括している。

賃金改善については、現在は賃金水準の低下が認められる組合がその回復に取り組んでいるが、内需拡大の必要性や組合の社会的役割などを踏まえ、再雇用者や若年層の賃金改善、非正規労働者の処遇改善なども含めて「全体的な賃金改善の取り組みについて検討を進める」としている。