同一組合で昨年の引き上げ額を51円上回る/連合の3月末時点での春闘集計
(2013年4月3日 調査・解析部)
連合(古賀伸明会長)は2日、2013春季生活闘争の3月末時点での集計結果を発表した。平均賃金方式での賃金引上げ額は5,284円で、引上げ率は1.80%だった。同一組合で昨年の結果と比べると、引き上げ率はほぼ変わらなかったが、引上げ額では51円プラスとなった。
集計結果をみていくと、集計対象の8,243組合のうち、賃金引上げで回答を引き出した組合総数は2,087組合(284万7,636人)。そのうち、1,531組合で集計した平均賃金方式での引き上げ額(すべての組合員数による加重平均)は5,284円で、引上げ率は1.80%だった。昨年の同時期と比べると、額では69円下回り、引上げ率では0.02ポイント下回った。300人未満の組合だけでみると、引上げ額は4,160円で、引上げ率は1.66%。前年同期比ではそれぞれ322円マイナス、0.09ポイントマイナスとなったが、今年、連合は3月内の回答引き出しに注力し、集計組合数が899組合と昨年より189組合多くなっており、これらのマイナス幅は昨年と今年の実績を比較できるものではない。
同一組合(1,456組合)で、昨年の同時期の実績と比較すると、今年の引上げ額は5,291円で51円プラス、引上げ率は1.81%で0.00ポイントプラスとなる。300人未満の組合でみると、引上げ額が4,149円で10円プラス、引上げ率は1.74%で0.01ポイントマイナスとなっている。
「金属」、「化学・食品・製造等」、「流通・サービス・金融」、「インフラ・公益」、「交通・運輸」と、5つある共闘連絡会議別に引上げ額と引上げ率をみていくと、「金属」が5,637円で1.89%、「化学・食品・製造等」が5,567円で1.85%、「流通・サービス・金融」が5,341円で1.88%、「インフラ・公益」が4,596円で1.49%、「交通・運輸」が4278円で1.48%。昨年の同時期と比べると、額・率ともにプラスとなっているのは「化学・食品・製造等」のみとなっている。
一時金は前年同期比0.19カ月増に
一時金は、959組合で集計した平均の年間月数(加重平均)は4.62カ月(152万7163円)で前年同期比0.19カ月増となっている。
非正規労働者の賃金引上げをみていくと、集計した69組合での単純平均での時給引き上げ幅は17.16円(平均時給969.35円)で、前年同期比では1.32円のプラスとなった。
労働協約面では、今回、連合は闘争方針のなかで、「職場における男女平等の実現」や「ワークライフバランスの実現」、「ワークルールの取り組み」(改正3法への対応など)を掲げた。「ワークルールの取り組み」では、改正労働契約法に関する取り組みとして、有期契約労働者を無期転換する雇用年限について、法定の5年ではなく3年に短縮することで交渉を詰めている組合や、法施行時(4月)より以前の雇用期間も通算してカウントすることに取り組んでいる組合があるという。
同日、記者会見した古賀会長は、「少なくとも平均賃上げ方式での同一組合で、昨年に比べてプラスとなっている。300人未満の組合(の集計)でもプラスとなっていることから、一定の相場波及を形成したと評価できるのではないか」と述べた。しかし、その一方で、「中小の交渉・回答引き出しはこれからがヤマ」とし、「実体経済が直結するのが中小企業だが、景況感が改善しているという状況ではない。非常に厳しい交渉が続くのではないか」と話し、今後の交渉展開について慎重な姿勢を崩さなかった。