アズビルなどで賃金・手当改善を獲得/JAMの春闘回答
(2013年3月15日 調査・解析部)
機械・金属関連の中小労組を多く抱えるものづくり産業労組、JAMの大手で、金属労協の集計登録組合となっている組合の回答では、アズビル(旧:山武)が賃金改善分を獲得した。井関農機では、特定の部門で家族手当を改善することで労使が合意した。一方、JAMの構成組織全体でみると、交渉の進捗は昨年よりも遅れ気味の展開となっている。
14日現在の交渉状況をみると、交渉単位の1,594組合のうち、賃金要求を提出した組合は872組合で、半数以上が提出を終えた。平均賃上げでの平均要求額は、5547円で、昨年と比較すると145円のマイナスとなっている。
要求のなかで賃金構造維持分を明示している組合は477組合あるが、そのうち賃金改善分を要求しているのは244組合で、それらの組合での平均の改善分を算出すると1,953円となる。なお、244組合のうち、14日までの回答を引き出した組合は38組合で、改善分の平均は816円。
一方、一時金は、年間要求組合だけでみると、14日までに362組合が要求しており、平均月数は4.64カ月。同一の組合で昨年と比べるとマイナス0.08カ月と、ほぼ同水準となっている。
賃金改善原資を獲得したアズビルの賃金改善額は、組合員一人平均で900円程度とみられる。井関農機は、グループ内の部門限定だが、家族手当の改善原資を含む改善分を獲得した模様。コマツでは、賃金ではないが、組合側がカフェテリアプラン制度での原資増額を獲得したとみられる。
JAM傘下の中小の交渉は、これから本格化する。大手の製造業では超円高の是正が業績にプラスに作用しているが、中小では「円安によって原材料費が高騰し、逆に経営的に苦しいという会社がぼちぼち出始めている」(眞中行雄会長)。実際に、JAMの交渉の進展状況をみると、例年に比べ遅れがみられる。
過去の3月の金属労協集中回答日の前日での賃上げ要求組合数を振り返ると、今年は795組合だが、2012年が865組合、2011年が848組合、2010年が891組合と、いずれの年も800を超えている。要求進捗率にすると、今年が49.9%と唯一、50%を割り込む。ヤマ場時点での平均回答額(平均賃上げ)も、今年は4,698円だが、2012年が5,042円、2011年が5,095円といずれも5,000円以上の水準となっている。
JAMによると、経営問題が発生している組合がここ数ヶ月で増加しているという。2月における単組からの一時休業の報告数は、「東日本大震災時の水準を上回る状況だ」(宮本礼一書記長)という。