シャープとパイオニアが統一闘争から離脱/電機メーカー労組が要求提出

(2013年2月20日 調査・解析部)

[労使]

パナソニックグループ労連や日立製作所労働組合など、電機連合(約64万人)に加盟する大手電機メーカーの各労働組合は、13~14日の間に今春闘の要求書を経営側に提出した。一時金では、日立労組が5.8カ月、三菱電機が5.57カ月を要求した。業績悪化を理由にシャープとパイオニアの労組が統一闘争を離脱することになり、19日の電機連合の中央闘争委員会で正式に承認された。

電機連合では例年、パナソニック、日立、東芝、富士通、NEC、三菱電機、シャープ、富士電機、沖電気工業、パイオニア、安川電機、明電舎の各労組の12組合で「中闘組合」を構成し、ストライキ権をたてながら統一闘争を展開する。しかし今春闘では、業績が悪化し経営構造改革を実行中のシャープ、12日に会社側が雇用調整と役員報酬・従業員の給与・賞与の削減を実施する方針を打ち出したパイオニアの2労組が、統一闘争からの離脱を電機連合に申し入れた。19日に開催された電機連合の中央闘争委員会は、両労組の中闘組合としての資格を凍結することを正式に確認した。中闘委員会で離脱組合が出るのは、2011年闘争の沖電気工業以来、2年ぶりのこと。

シャープとパイオニアを除く10の中闘組合は、13日から14日までにすべて、要求書を経営側に提出した。賃金では、電機連合方針に沿い、すべての組合が統一要求基準である「賃金体系の維持(現行賃金水準の維持)」(35歳ポイント・開発・設計職基幹労働者)を要求に掲げた。沖電気工業労組ではさらに、産業内格差の改善にために「加算給基準額」の改定を要求した。

一時金の産別ミニマム基準は年間4カ月

一方、一時金の統一要求基準は夏冬型年間協定方式を基本に、「年間5カ月分を中心」としつつ、「産別ミニマム基準」は年間4カ月分としている。

一時金では、10組合のうち、東芝、富士通、NEC、安川電機の4組合は「業績連動方式」を採用しており、業績に応じて自動的に一時金水準が算定されるため、交渉は行わない。パナソニックグループ労連も同方式を採用するが、今期は「同方式を基本とし交渉のうえ決定」することにした。交渉組合の要求水準をみると、日立は昨年要求を0.3カ月分上回る年間5.8カ月、三菱電機が0.47カ月下回る5.57カ月で、富士電機と沖電気工業がともに5.0カ月、明電舎が4.5カ月となっている。経営合理化を実施しているルネサスエレクトロ二クスでは、労組は夏のみの半期で1カ月を要求した。