すべての組合が労働条件改善の実現を追求/JEC連合が春季闘争方針を決定

(2013年 1月 16日 調査・解析部)

[労使]

化学・エネルギー関連産業の組合でつくるJEC連合(11万7,000人)は10日、都内で中央委員会を開催し、2013年春季生活闘争の方針を決めた。要求基準では、すべての加盟組合が労働条件改善と適正な配分の実現を追求するとし、連合の闘争方針を踏まえ、「賃上げ・労働条件改善のために1%の配分を求める」ことを確認した。

「総額人件費の抑制による競争力強化から、人への投資を」(永芳会長)

あいさつした永芳栄始会長は、今季闘争の位置付けについて「総額人件費抑制による国際競争力強化という経営から脱却し、人への投資・育成、積極的な国内投資による高付加価値製品の創造など、日本のもつ強みを生かした経営を目指すことの必要性をあらためて主張していくことが重要」と述べた。そのうえで、「一億総中流」の基盤が壊れ、社会が不安定化し、将来見通しもできない現状を踏まえ、連合が今季闘争のメーンスローガンとしている「痛んだ雇用・労働条件の復元」を図っていく必要があると強調した。

底上げ・格差是正の取り組みにも力点

闘争方針の柱となる要求基準は、 (1)すべての労働組合が労働条件改善と適正な配分の実現を追求、 (2)賃上げ・労働条件改善のために1%の配分を求めることに取り組む、 (3)不合理な格差の排除を行うとともに、労働条件の底支えと復元を重視――の3点をあげた。

具体的な取り組みとして、月例賃金の賃金改善に向けては、昨年に引き続き、月例賃金の底上げを追求。その前提として、すべての組合が賃金構造を崩さないために現行の賃金カーブの維持に取り組み、それに加えて新たな配分を求める。月例賃金の改善に向けては、 (1)賃金水準の引き上げ(ベア)、 (2)賃金カーブの歪みの是正、 (3)諸手当の見直し、 (4)過去の積み残し分(賃金カットや定昇凍結の復元など)の補てん――などを示し、段階を追いつつ、あらゆる手段を使って、適正な配分の獲得をめざす。

また、底上げ・格差是正の取り組みも強化する。所得の低い層の底上げとして、昨年に引き続き、年齢別最低保障賃金の協定化を進める。具体的には、ライフサイクルに対応させ、人事院の標準生計費および総務省の全国消費実態調査をベースに30歳は扶養2人、35歳以降は扶養3人を前提に20歳15万5,000円、25歳19万4,000円、30歳20万2,000円、35歳22万8,000円、40歳25万2,000円、45歳28万2,000円、50歳31万7,000円を設定した。非正規労働者の労働条件改善としては、最低水準の時間額を880円以上とする企業内最低賃金の協定化をこれまで以上に重視するとしている。

闘争日程としては、3月第3週を解決に向けた回答ゾーンとして、13日・14日・15日を集中回答日に設定。先行グループ共闘連絡会を開催し、集中回答日に向けた方針を策定する。