労働条件改善の統一的運動等を運動の基本方針に

(2012年11月9日 調査・解析部)

[労使]

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UAゼンセンの運動の基本スタンスを示す「運動の基本」では、 (1)社会の進歩、発展 (2)産業民主主義と参加型労使関係の前進 (3)生活者優先の政治体制実現 (4)世界の平和と繁栄実現 (5)友愛と連帯の精神が満ちあふれる社会づくり――を運動の基調に据えている。そのうえで、運動の基本方針については共通の目的のために同一の行動をとることを約束する「同盟体」組織として、組織の強化・拡大や労働条件の改定に向けた統一的運動/統一闘争などを求める内容となっている。

運動の基本方針のうち、組織方針については、「『力と政策』を兼ね備えた組織を求め、有期雇用労働者をはじめ未組織労働者の組織化と産別未加盟労組の加盟を積極的に推進する」などとし、「これらを通して複数の産業・業種を抱え、かつ多様な就業者層で構成する複合産業別組織の拡大を進める」としている。また、労働条件改定における取り組み方針では、とりわけ賃金を中心とする労働条件の改定に向けて統一的に取り組む項目を掲げ、一定の時期に加盟組合が一斉に交渉する「統一的運動の推進」と、社会的あるいは産業・業種の公正労働基準を確立するため、共通する重要な改善要求は指令・統制・妥結権を中央機関に集約することを原則とする「統一闘争の展開」を明記している

『生活を十分に保障する賃金』『同一価値労働同一賃金』を目標に

一方、運動の基本方針のうち行動目標には、 (1)雇用の安定 (2)公平・公正で納得性ある社会の実現 (3)男女共同参画社会の実現 (4)労働条件と福祉の向上 (5)産業政策 (6)政策・制度要求 (7)政治活動 (8)教育・文化・社会活動――を掲げている。

このうち、「労働条件の向上」をめぐっては、「『生活を十分に保障する賃金』『同一価値労働同一賃金』を基本に働きがいの持てる賃金水準の確立を目指す」などとしている。また、労働時間に課題が多い第三次産業に対し、「多様な労働時間と生活時間の組み合わせを基本とする考え方を持ち積極的な取り組みを進める」ことも盛り込んでいる。さらに、産業別組織としての闘争力を強化し、組合員の労働条件を横断的に高めるため、「産業別統一的労働協約を締結するよう努力を重ねる」とともに、「最低賃金や労働時間など基本的労働条件については、労働協約の拡張適用などを通じ、未組織労働者の労働条件の改善にも役割と責任を果たす」などとしている。

2013~14年度の運動方針も決定

2013~14年度の運動方針については、UIゼンセン同盟とサービス・流通連合がこれまで展開してきた運動を継承し、充実・強化を図る内容となっている。運動の課題には、 (1)全加盟組合の参加・参画 (2)社会的影響力の発揮 (3)男女共同参画社会の実現に向けた運動強化 (4)ワーク・ライフ・バランス社会の実現――を設定。そのうえで、重点方針として (1)組織体制の確立と組織強化・拡大 (2)人材育成・教育機能の強化 (3)産業別労使関係の構築と強化 (4)雇用確保と労働条件向上 (5)政策活動の強化と政治活動 (6)国際労働運動の強化 (7)組合員サービス活動の充実 (8)社会貢献、社会(国民)運動の取り組み――を据えている。

このうち組織関連では、組織拡大目標を未組織の新規組織化で2.5万+パート労働者、中間管理職、継続雇用者の組合員化(企業内組織率向上)で2.5万の年間5万人とし、当面150万組織の実現を目指す。具体的には、公正労働基準を確立するため、同業未組織労働者の組織化を重要な活動として取り組むとともに、組織化の戦略的領域も設定。製造業分野では、医薬品分野での未組織・未加盟・外資系の製造・販売会社や今後成長の見込めるジェネリック分野の組織化を進めるとし、流通業では流通ジャイアント企業や外資系企業、各業種別の集団的労使関係づくりのための組織化(ドラッグ、眼鏡チェーン、DIY、家電等)に注力し、サービス業では介護分野でのさらなる組織化をはじめ、生業的業種――例えばビルメンテナンス、警備など不動産管理サービス分野や、給食、制服リースといった複数の事業所向けサービスを付加したマルチサービス業に着手する。

一方、重点方針のうち人材育成関連では、年間の中央教育計画を立て加盟組合へ計画的派遣を要請するとともに、非専従役員向けに地域での教育も適宜行う。中央教育と地域教育のプログラム案を、早急に議論し確定するほか、「友愛の丘」を総合教育施設に位置付け、リーダー育成に積極的に活用する。また、政策・政治活動関連では、部門を中心とした産業政策の見直し・立案、実現行動や、「UAゼンセン重点政策」の整理と連合への意見反映、政策・制度実現のための「政策懇話会」設置や「UAゼンセン政治連盟」(仮称)の取り組みなどをあげた。

^なお旧JSD加盟組合については、新産別結成方針の「補強見解」として、(2013年の春季労働条件闘争を産別統一闘争として実施する場合)、結成間もないため「原則、不参加とする」(ただし統一的運動として、統一的な要求基準に沿った要求を掲げ、スケジュールを遵守し情報開示を徹底する)ことを確認している。

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