日本最大の新産別「UAゼンセン」が誕生

(2012年11月9日 調査・解析部)

[労使]

新産別「UAゼンセン」結成

繊維・衣料、医薬・化粧品、化学・エネルギー、窯業・建材、食品、流通、印刷、レジャー・サービス、福祉・医療産業など生活関連産業を幅広く組織する、民間最大産別のUIゼンセン同盟と、主に百貨店やスーパーなどの流通産業労組を組織する、日本サービス・流通労組連合(JSD)が組織統合し、141万人超の組織人員を有するわが国最大の産別「UAゼンセン」(総称)が誕生した。11月6日に神奈川県・横浜市で結成大会が開かれ、逢見直人・会長(前UIゼンセン同盟会長付)、松浦昭彦・書記長(前UIゼンセン同盟書記長)らを選出した。

流通労組運動の一本化が実現

UAゼンセンの結成に先立ち、結成準備委員会を代表してあいさつした落合清四氏(UIゼンセン同盟会長)は、その統合の経緯について、「バブル崩壊から90年代にかけ、経済環境や雇用構造が様変わりする中で、雇用の維持・安定には産業政策の実現が重要との認識が高まり、一産業一産別に結集することを目標に協議が繰り返されるようになった。その結果、JSD(商業労連・チェーン労協・百貨店七労組が統合)とUIゼンセン同盟(ゼンセン同盟、CSG連合、繊維生活労連が統合)という、ステップとしての流通労組運動二団体の結成に至った。2005年から二団体協議を開始し、新産別の姿、綱領、運動理念等について合意に至るも、会費水準や名称等では合意できず注1、統合協議は棚上げ状態となった。だが、統合の火を消すことなく、流通産業課題に対して2つの組織間で共通運動・行動を進めたことが昨秋、両組織が不退転の決意で開始した再編統合推進委員会、本年6月からの結成準備委員会につながった」などと説明した。

2,478組合・141万 2,674人で構成

今回の統合で誕生したUAゼンセンは、2,478加盟組合・組織人員141万2,674人にのぼる巨大組織となった注2。そのため、運営は本部、部門、47都道府県支部の3つの括りで行う。

本部は、運動全体を統括。部門は、製造産業(1,139組合・約22万5,500人)、流通(517組合・約79万4,600人)、総合サービス(822組合・約39万2,600人)の3つで構成し、公正労働基準の確立や産業政策実現機能の強化を担う。

部門の下には部会を設置し、産業・業種ごとに業界団体との関係づくりなど、産業別労使関係の構築・強化を推進する。製造産業部門の下には、医療・化粧品(83組合・約6.2万人)や化学(193組合・約5.4万人)をはじめ、繊維素材、繊維加工、衣料・スポーツ、総合製造部会を設置。流通部門の中には、食品関連(188組合・約26.2万人)やGMS(総合スーパー)(26組合・約24.9万人)をはじめ、住生活関連、百貨店、ドラッグ関連、専門店部会を形成する。総合サービス部門は、人材サービス(19組合・約8.5万人)やフードサービス(59組合・約8.2万人)、医療・介護・福祉(110組合・約7.9万人)をはじめ、フード、ケータリング、インフラサービス、生活サービス、ホテル・レジャー、パチンコ関連で構成する。

一方、都道府県支部では、加盟組合の世話活動や組織拡大など活動の強化を図る。

「同盟体としての運動をしっかり継続する」(逢見会長)

結成大会では、UAゼンセンの綱領・運動の基本をはじめ、規約・諸規則、2013~14年度の運動方針や予算、組織機構・役員体制など、組織の全容を決定した関連記事

会長に選出された逢見氏は、あいさつの中で「同盟体としての運動をしっかり継続していく。多様な産業・業種、働き方を包み込んで運動を浸透させる。政治、経済、社会とも先行き不透明な五里霧中の時代だからこそ、我々に与えられた使命は大きい。社会正義の観点、公平・公正な社会づくりの視点から、時には社会の運動の推進力として、そして時には対抗力として、我々のエネルギーを発揮し、そのことを通じわが国労働運動の活性化に貢献したい」などと抱負を述べた。

大会終了後は、製造産業、流通、総合サービスの3部門に分かれ、中央委員会を開催。部門別に、規約・規則、規定の制定、役員体制、2013~14年度の活動方針・計画、予算――などを決定した。

注1^統合協議を一時棚上げ状態にした要因である、会費問題をめぐっては、新産別結成方針に付帯する「確認書」(2012年4月)の中で「JSDのすべての加盟組合は2016年7月より新産別の会費水準に合わせる」などとして、経過措置を設けることで決着した。また、名称問題については、前UIゼンセン同盟の正式名称(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)を継承する一方、総称をUAゼンセン(UはUNION、AはALLIANCE、ALL-ROUNDの意。ゼンセンは意味を持たない)とすることで落着した。

注2^加盟組合は1~99人が1,394組合、100~299人が476組合と大半を中小規模で占め、300~999人が348組合、1,000~2,999人が165組合、3,000人以上が95組合となっている。組織人員構成は、男性が42.2%に対し、女性が57.8%で女性が上回っている。雇用形態別には正社員が49.9%に対し、パート・契約社員など正社員以外が50.1%で、半数ずつ構成する特徴を持つ。