都市交との組織統合方針案を了承/自治労定期大会

(2012年09月05日 調査・解析部)

[労使]

地方自治体の職員や公共サービス民間労働者等で組織する自治労(徳永秀昭委員長、84.6万人)は8月30~31日、北海道・函館市で定期大会を開き、当面の闘争方針等を決定した。大会では、地方自治体の交通事業(バス・地下鉄・路面電車)の労組で構成する都市交(2.7万人)との組織統合について、来年1月の臨時大会で最終的に決定することを盛り込んだ組織統合方針注1もあわせて確認した。

「関連四法案放置は労使合意無視で容認できず」(徳永委員長)

あいさつした徳永委員長は、昨年6月に国会提出されたまま継続審議となっている国家公務員制度改革関連四法案について、「国家公務員給与を削減する臨時特例法だけを成立させ、関連四法案を放置し続けていたこの間の状況は、昨年5月の『労使合意』を無視していると言わざるを得ず、到底容認できないが、残された会期末まで、政府・民主党の誠意ある対応を求めたい」などと批判。

また、5月に総務省素案が示され、6月には民主党公務員制度改革PT委員会で検討作業が行われているものの、未だ法案提出に至っていない地方公務員制度改革(消防職員に対する団結権等付与を含む)について、「政権を支持していた我々の期待を損なうものであり、極めて遺憾であると言わざるを得ない」などと非難した。

そのうえで、今年の人事院勧告は臨時特例法を黙認する一方、人事院勧告が存続することを疑問視するマスコミ報道があることに触れ、「つまりは人勧制度の下での給与決定システムは限界を迎えつつあって、マッカーサー書簡以来の公務員の労働基本権の制約と、その代償機能としての人勧制度の見直し、公務員の労使関係の近代化は時代の要請であると考えている。その意味で、中長期的な視点に立ち、人事院に代わる制度としての自律的労使関係を引き続き追求していかなければならない」などと強調した。

「自治体の非正規職員の処遇改善にも前進の兆し」(徳永委員長)

一方、約60万人にのぼるとも推定され、自治労がこの間、民主党「『官製ワーキングプア』問題解決促進議員連盟」や、民主党「地方自治体臨時・非常勤職員問題ワーキングチーム」に働き掛けながら取り組んできた自治体の非正規職員の待遇改善問題についても、前進の兆しがあることが明らかにされた。

徳永委員長は、「民主党総務部門会議が7月26日に、自治体の判断で一時金など諸手当を支給できるようにする地方自治法改正案を了承した。今後、野党との協議を進めるとしている。これをさらに進めるには、『任期の定めのない短時間公務員制度』を創設するとともに非正規職員の雇用制限をなくし、正規職員とワークシェアリングできるようにすることなどが必要。長時間労働を強いられ、疲弊している正規職員も含めたワークライフバランスへの第一歩となるよう、まずは率先して公務職場でこそ実践、実現していかなければ、社会全体に浸透させていくことはできない」などと述べた。

国公賃金減額の影響遮断の取り組みを強化

大会では、2012自治体確定闘争の推進など15本を柱とする、当面の闘争方針等を決定した。その中では、月例給・一時金の改定を見送る注2一方、50歳台後半層職員の昇給抑制や昇格制度の見直し等を勧告・報告した人事院勧告(8月8日)に対して、月例給の水準維持と一時金の支給月数の確保を基本に、対人事委員会交渉・対自治体交渉を進めることなどを確認した。

また、国会公務員については2014年3月まで臨時特例法による賃金減額が実施されているものの、地方公務員については地方交付税、義務教育費国庫負担金を減額しないとした労使確認・閣議決定があることから、国公給与引き下げの影響遮断と地方財政の確立に向け、関係方面に対する要請行動を強化することなどを確認した。

注1都市交との組織統合に向けた方針案を提起/自治労中央委員会」/メールマガジン労働情報No.820)

注2月例給については、給与減額前で較差▲273円(0.07%)、給与減額後2万8,610円(7.67%)で改定見送り。一時金については、民間支給が3.94ヵ月で、3.95ヵ月の据え置きを勧告等(「人事院勧告(公務員の給与)」)。