地公三単産による組織統合の協議決裂を報告/自治労中央委員会
自治労(岡部謙治委員長、約95万人)は5月29日、東京・有明で中央委員会を開き、2010年秋に向け、都市交(約3.1万人)、全水道(約2.8万人)と続けてきた、8年越しの組織統合協議が決裂したことを報告した。自治労、都市交、全水道のいわゆる地公三単産は、完全統合までの過渡的組織として07年に「地域公共連合」を結成。連合加盟を一本化したが、これを9月に解散し産別ごとの加盟へ戻す方針も承認された。
「自治労の責任はとりわけ大きいと痛感」/岡部委員長
岡部委員長は、あいさつの冒頭、地公三単産の組織統合問題に触れ、「8年に渡り精力的に議論してきたが、5月10日の統一組織委員会で、2010年秋の新組織結成を断念する確認(共通文書見解)に至った」と報告。そのうえで、こうした結果になったことについて、「この間多大なご努力を頂いている組合員はじめ、連合ほか関係組織に心よりお詫び申し上げる。結果に対しては、三単産が等しく責を負うべきだが、最大産別で主導的役割を期待されていた自治労の責任はとりわけ大きいと痛感している」との見解を示し、さらに統合断念に至った理由については、「統合協議では綱領や組織のあり方について整理してきたが、その過程で産別継承組織となる『部門組織』に対するイメージの合意に至らなかった」などと説明した(詳細リンク)。
0.2カ月の夏季一時金凍結で「人勧制度の存在意義が大きく揺らぐ」
また、あいさつで岡部委員長は、09春闘で民間では年間一時金が大幅削減されたことを受け、人事院が5月1日、暫定的措置としながら夏季一時金0.2カ月分の凍結を勧告したことに触れ、「今回の異例の事態の背景には、政治からの圧力があったことは明らか。人事院の中立性に抵触しかねないと言わざるを得ない」と指摘。さらに、自治体でも財政悪化を理由に人勧に関係なく独自の賃金カットが続いていることに触れ、「代償措置としての人勧制度の存在意義は大きく揺らいでいる」との危機感を明らかにした。
そのうえで、岡部委員長は「(今回の夏季一時金暫定凍結勧告に対しては)人事委員会では11県及び2政令市が、民間の状況を正確に反映できない等の理由で見送りを決定した。その後妥結を経て、現在は条例改正段階にあるが、約1割の自治体で改正なしとの結果が出ている」などと言及。「奮闘の成果」としながらも、「大多数では国に倣った措置が取られようとしており楽観できない」とし、09人勧期に向け自治体・人事委員会への交渉のほか、自治体議会への対策を強化するよう訴えた。
中央委員会では、人勧期の賃金・労働条件をめぐる取り組みをはじめ、公務員制度改革(労働基本権問題)、地方財政確立、自治体改革運動(公共サービスの規制緩和対策)、社保庁改革、男女平等産別統一闘争――に対する取り組みなど、15本を柱とする当面の闘争方針を決定した。
方針の中では、地公三単産の統合決裂を受け、(1)統合までの過渡的組織に位置づけてきた地域公共連合を解散(9月メド)し、それぞれ連合(10月大会で)加盟方式を旧産別に戻すこと(2)三者間に実務的に設置してきた統一組織委員会を解散し、さらに県単位で進めていた三者間交流(県連絡会)も終了すること(3)8月の定期大会でこの間の経緯と今後の対応について報告・提案し、総括論議を行うこと――も決めた。
(調査・解析部)
2009年
6月3日