UIゼンセン同盟と産別再編統合する方針を決定/JSD臨時大会

(2012年04月20日 調査・解析部)

[労使]

百貨店やスーパー等の組合でつくるサービス・流通連合(JSD、約22万人)は18日、都内で第2回臨時大会を開催し、UIゼンセン同盟と新たな産別を結成する方針を決めた。「新産別結成に関するJSD方針(案)」は、採決の結果、定数327人中305人出席のところ、反対0、態度保留3の圧倒的賛成多数で可決した。今後は両組織でつくる結成準備委員会で、新産別の規約等についての調整・検討を進め、11月6日(仮)の結成大会開催をめざす。

新産別の総称は「UAゼンセン」に

JSDとUIゼンセン同盟の産別再編統合協議をめぐっては、基本的なあり方については「新産別の姿(案)」でおおむね一致していたが、名称と会費の問題で最終合意に至らず、2007年12月に一旦、協議を中断した経緯がある。その後、JSD側からの呼び掛けで2011年10月より協議を再開。以降、積み残し課題を集中的に議論するとともに、新産別の結成方式や結成時期、統一闘争や政治活動などのありようについて協議を重ねてきた。

臨時大会で明らかにされた、UIゼンセン同盟との共同文書「新産別結成に関する再編統合推進委員会への最終答申」(4月6日策定)では、新産別の結成は「新組織結成方式」によるとし、その名称を「全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟」(=UIゼンセン同盟の現行の登記通り)、総称を「UAゼンセン」とする方針が示された。

基本会費については「800円/人/月」とすることが明記されたが、JSDが新産別の会費水準に合わせるのは「2016年7月」とし、3年8カ月の経過措置を施す確認書が交わされている。また、「新産別結成から1年を経過した2013年秋を目途に、財政健全化に向けた議論を開始する」補強見解(両組織で特に確認しておくべき事項)も付記されている。

一方、産別統一闘争をめぐっては、結成間もないためJSDの加盟組合は「2013年の春季労働条件闘争は原則、不参加」とするほか、「2014年以降、産別統一闘争を実施する場合、厳しい環境(経営状況・労使関係)にある加盟組合は個別に協議する」などとする補強見解も示された。

今後は、両組織で結成準備委員会を設置。新産別の規約・規定や運動方針、予算案、組織運営の詳細、役員体制、専従者の人事・処遇など具体的な調整・検討を行う。結成大会は11月6日(仮)の見通しで、両組織は同日までに解散大会を開く(JSDは11月5日)。

「次世代に先送りしてはならない」(八野会長)

あいさつした八野正一会長は、「新産別結成の目的には、 (1)政治的・経済的・社会的力量の強化 (2)スケールメリットを生かした組織的・人材的・共助的産別機能の強化 (3)産業別労使関係の確立 (4)産業政策の創造と実現へ向けた推進力の強化 (5)中小労働運動の強化と発展 (6)連合労働運動の核としての役割強化――がある。新産別として政策の一元化、要求の一元化、共同運動化をすることにより運動を推進し、課題を解決することが重要だ」と強調した。

そのうえで、運動を効果的に進めるには「労働組合が対面する国、社会、産業、会社との関係を一対一の関係にしていかなければならない。組織の分立、分裂、対立があればこの関係が実現できないばかりか運動のロスを生じる。ここにいるすべてのJSD加盟組合が参画し、一産業一産別の構築という課題を、決して次世代に先送りすることなく、責任ある判断をしなければない」などと、産別再編統合の実現に向けた固い決意を表明した。