東京・神奈川の2011年度特定最低賃金額改定に対する見解を発表/金属労協

(2011年12月28日 調査・解析部)

[労使]

金属労協(IMF・JC、西原浩一郎議長、約200万人)は21日、東京都と神奈川県の2011年度特定(産業別)最低賃金額改正に対する見解を発表した。2011年度の改定については、それぞれの地方最低賃金審議会での必要性審議の結果、東京での金属産業関連の2業種、神奈川での1業種について「必要性ありに足らず」との結果となったことに対して見解は、「使用者側の強硬な反対」によるものだと主張。産別最賃不要論を訴える使用者側の対応について「遺憾であると言わざるを得ない」と非難している。

特定(産業別)最低賃金は、関係労使の申し出に基づき、最低賃金審議会が必要と認めた場合、同審議会での調査審議を経て改定額が決定される。具体的には、地方の場合、申し出があると、各地方の労働局長が審議会に対して必要性審議を諮問する。審議の結果、必要性の答申がなされると、労働局長は審議会へ額の改定に関する調査審議の諮問を行い、審議会が答申を出す。この後は労働局長による答申要旨の公示、決定、決定の公示を経て、改定額の効力が発生することになる。

東京2業種、神奈川1業種で「必要性ありに至らず」

東京都の2011年度の改定では、「鉄鋼」、「はん用機械」、「電機・精密」、「輸送用機械」、「出版」の5業種で労働側が金額改正の申し出を行ったものの、審議会での必要性審議の結果、「はん用機械」と「電機・精密」が「必要性ありに至らず」との結果となった。神奈川県の2011年度改定では、「非鉄・電線」が「必要性ありに至らず」となった。

この結果を踏まえて見解は、使用者側が2010年度に決定した産別最賃が2011年度の金額改定後の地域別最賃を下回ったことを根拠に、「当該産業労使の意向を斟酌することなく『特定(産業別)最低賃金は役割を終えた』と決めつけ、全業種とも『金額改正の必要無し』との主張を繰り返した」と主張するとともに、産別最賃の「廃止に最後まで固執を続けた」と強調。「使用者側は従来から特定(産業別)最低賃金の不要論を主張してきたが、今回の対応は制度の目的・意義をないがしろにするものであり、遺憾であると言わざるを得ない」と強く非難している。

今後は当該労使のイニシアティブによる判断を

また見解は、必要性審議に当該業種の労使の意思が十分に反映されない点を制度上の問題だと指摘。今後は当該労使のイニシアティブの発揮によって必要性の判断が行われるように、連合と連携して対応を進めるとしている。