ベア2,500円を統一要求に/私鉄総連中央委員会

(2011年12月9日 調査・解析部)

[労使]

大手私鉄やバスなど約230の労働組合が加盟する私鉄総連(渡辺幸一委員長、13万人)は7日、都内で中央委員会を開き、2012年の春季生活闘争(春闘)で、月額基本給を一人平均2.0%(定昇相当分)プラス2,500円(ベースアップ分)の引き上げを統一要求として掲げる職場討議案を確認した。来年2月2日の拡大中央委員会で正式決定する。

私鉄総連の2011春闘ではヤマ場直前に東日本大震災に見舞われたことから、被災地の復旧・復興の支援を最優先課題とし、賃金交渉については統一ストライキといった戦術配置をとりやめる「緊急避難措置」を取った。

渡辺委員長は挨拶で「震災後、被災地の交通機関の復旧に努力してきた労働者の努力を経営側はしっかり受けとめる責務がある」と訴えた。

連合では、2012年春闘方針で、賃金を直近のピークである97年の水準に復元することを掲げており、私鉄総連もこれに踏まえて要求を行う。

私鉄・バス組合の統一要求では、昨年同様、各組合員の現行基本給を一人平均で、定期昇給相当分2.0%プラス賃金改善原資2,500円(ベア分)引き上げることを掲げる。加盟144組合の平均基本給27万140円(平均年齢42歳、平均勤続17年)をもとに算出すると、定期昇給分は5,400円になる。定期昇給制度のない組合はベア分2,500円と合わせ、7,900円を要求する格好だ。

また、賞与については、2011年度に協定した月数の堅持を求めるとともに、年間5カ月に満たない組合については5カ月分を要求するとしている。

一方、ハイヤー・タクシーの専業組合は、基本給を一人平均で2.0%(定昇相当分:定昇額1,500年+調整給2,040円)プラス2,500円(ベア分)の引き上げを求める。賞与は、年間5カ月分を基本目標とする。出来高制の賃金体系を取っている組合については、固定給中心の賃金の確立を目指すことも盛り込んでいる。

労働者全体の賃金を底上げするため、契約社員やパートタイマーなど非正規労働者の賃金についても、一時間あたり30円以上の引き上げを求めていく。