TPP参加阻止を訴え―全労連らが中央総決起集会開催

(2011年11月11日 調査・解析部)

[労使]

全労連、国民春闘共闘、国民大運動実行委員会は10日、都内の日比谷野外音楽堂で「住民本位の復興、暮らしを破壊するTPP参加阻止、社会保障改悪・大増税反対!」をスローガンに「諸要求実現11・10中央総決起集会」を開いた。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)については、「国内のあらゆる産業が破壊される」として、参加反対を訴えた。

主催者挨拶で国分博文国民春闘共闘代表幹事(全農協労連委員長)はTPPに参加した場合の影響についてふれ、「TPPは24もの交渉分野があり、農業だけの問題ではない。たとえば、食品添加物の規制を取り払うことは国民の健康と食の安全を根底から覆す恐れがある。医療の規制緩和は国民皆保険制度の崩壊を招く。公共事業にも外国企業が参入するようになり、国内企業の仕事が奪われてしまうのではないか」と懸念を表明。政府がTPPに参加することで輸出が拡大すると主張していることについては、「アメリカもTPPを活用して、今後5年以内に輸出を2倍以上に増やすことを計画しており、日本の輸出が増えるという保障はない」と反論した。

消費税の増税問題では「東日本大震災の被災者が生活と生業の再建で懸命になっているときになぜ大増税なのか。国民に冷や水を浴びせるような暴挙を私たちの運動でストップさせようではないか」と訴えた。

また、来賓の大西茂志全国農業協同組合連合会常務理事は「TPP交渉に関する最大の問題は、この国の行方を左右しかねない重大な事項にもかかわらず、国民に対して十分な情報開示が行われず、国民的議論も行われていないことだ」と指摘。「岩手、宮城、福島三県の被災地のうち、来年までに営農再開の目処が立っているものは全体の三分の一に過ぎない。こうした被災地の暮らしを置き去りにして、政府がTPP参加への検討を続けること自体に強い憤りを禁じ得ない。被災地の農家が復興に専念し、将来にわたって安心して農業を続けてもらうためには、一日も早くTPP交渉不参加を明言し、不安を払拭してもらうことが政府の役割ではないか」と訴えた。