交通政策の早期成立やエネルギー政策の見直しを/交運労協定期総会

(2011年10月7日 調査・解析部)

[労使]

陸海空の交運関係18産別で構成する交運労協(議長:渡辺幸一私鉄総連委員長、約65万人)は10月6日、都内で定期総会を開き、2012年度の活動方針を決めた。

新運動方針には、国や地方自治体、事業者の交通全般にかかる基本的理念を定めた「交通基本法」の早期成立をめざすとともに、短・長期展望に基づく総合的な交通・運輸政策の基本的方向の作成を求めていくことが盛り込まれている。

交通基本法は、地域の公共交通を維持・再生するため、陸海空の各交通モードの連携による総合交通体系の構築をめざして策定されたもの。その制定は、立法化を求めてきた交運労協にとって悲願ともいえる。同法案は先の通常国会に提出されたものの、東日本大震災発生後の政局の混迷などを受け、審議入りに至らず、秋に開催される臨時国会に持ち越されることになった。

交運労協は、被災した交通網の早期復興や地域の再生・活性化のためにも、関係議員との懇談会などを通じて、交通基本法の早期成立を政府に求めていく構えだ。併せて、同法に基づく交通・運輸に関する基本計画の策定と、これを踏まえた諸施策の推進、法整備や各種支援制度の確立や拡充もめざす。

新運動方針案の中では、これまで積極的な発言をしてこなかったエネルギー問題への対応についても踏み込んだ。原子力発電への依存度を2030年までに5割まで引き上げるとした国のエネルギー基本計画をいったん白紙にして見直すべきとしたうえで、既存の原発についても、「安全安心が担保されない安易な原発の再稼働は許されることではない」(渡辺議長)とし、安全基準を明確化した上で総点検を行うよう求めた。

さらに今後は、原子力への依存度を低め、安全で再生可能なエネルギーへシフトしていくことが交通・運輸労働者の社会的責務であるとしている。

大会では役員改選が行われ、渡辺幸一議長(再選)、関正治事務局長(再選:運輸労連)らが選出された。