組織拡大を踏まえ、改革の方向性を確認/UIゼンセン同盟定期大会

(2011年9月9日 調査・解析部)

[労使]

繊維や化学等の製造、流通、外食サービスなど、幅広い産業を組織する、民間最大産別のUIゼンセン同盟(落合清四会長)は7~8日、神奈川県横浜市で定期大会(中間年)を開き、2012年度の重点活動計画等を決定した。落合会長は挨拶の中で、加盟組合員数が昨年度より約1.9万人純増し、総勢で約111.2万人になったことを報告。巨大複合産別として2012年9月以降、新たに製造、流通、サービスの3部門制を敷く考えなどを明らかにした。

業界ぐるみの戦略的組織化や長年のオルグが結実

落合会長は挨拶の中で、組織の実勢について、「昨年度も新たな組合員を2万7,180人(新規加盟約1.9万人、企業内組織拡大約8,000人)迎えることができた。合理化等による解散組合や自然減を相殺すると、昨年度より1万8,786人純増し、111万2,115人になった」などと報告した。

UIゼンセン同盟は、2002年の組織結成以来、組織人員数を右肩上がりに伸ばし続けている。特に昨年度は、業界団体を取り込んで戦略的な組織化を進め、ドラッグ業界の売上上位10社(新たにキリン堂グループ労働組合(大阪)・約3,000人等)に組合を結成できたことや、十数年来のオルグの努力がようやく結実し、西日本最大手のスーパーマーケット(山陽マルナカ労働組合(岡山)・約5,600人)に組合を結成できたことなどが、数字に現れた格好だ。

「組合員と直接繋がる同盟体産別に」(落合会長)

こうした組織の現状について、落合会長は「ゼンセン同盟とCSG連合と繊維生活労連が統合し、UIゼンセン同盟となって10年目を迎えた。この間、加盟組合2,400・組合員約111万人を擁するようになり、製造業、流通業、サービス業にまたがり多くの業種を網羅し、組合規模も100人以下の中小から16万人を超える労連まで多様化した。そして何より、契約社員・パート、派遣の組合員が約48%を占めるようになり、今後組織化が進み、加えて他産別との統合があれば、運動の基本に掲げた150万人以上の組織となって、正社員以外が過半数を超えることになるだろう」などと指摘。そのうえで、「ミニ連合のように映るかもしれないが、UIゼンセン同盟はあくまで加盟組合及びその組合員と、直接繋がった同盟体の産業別組織でなければならない」と強調した。

2012年9月以降、製造、流通、サービスの3部門制へ

大会では、昨秋策定した、 (1)生活者の視点・暮らしから発想への意識改革 (2)交渉力の向上 (3)UIゼンセン同盟組織の見直し――を柱とする、向こう2年間の重点運動方針を踏まえ、2012年度の重点活動計画を決定した。

活動計画では、 (1)に関して「総実労働時間短縮方針」に基づく交渉をすべての組合が行い成果に繋げることや、過重労働対策として有効な「勤務間インターバル規制」の導入を促進することなどを盛り込んだ。 (2)については、業界団体との交流の強化(2012年の新たなターゲットとしてビジネスホテルチェーン、ジェネリック医薬品業界)や、組織化活動のさらなる活発化(ホームセンター、メガネ、紳士服、娯楽等に特化)などを補強した。

このほか、東日本大震災からの復興・再生に向けた活動として、新たに「当県支部を中心に地域の声を集約し、連合・組織内議員等と連携して活動を展開する」ことや、「経済が停滞を余儀なくされるなか、合理化等について労使事前協議など対策指針に基づく対応を徹底する」ことなども掲げた。

そのうえで、 (3)の新たな組織機構については、(1)運動・闘争単位として「部門」を新設するとともに、産業・業種の複合化等への対応のため、その中に「業種別部会」を設置する(2)部門は働き方に共通性のある組合で「製造業的部門」「流通業的部門」「サービス業的部門」の3部門とする(3)部門は一定の権能を持ち、それぞれ事務局を持ち、大会で決定された配分資産を管理・執行する――ことなどを確認。部門構成のイメージ(素案)によると、製造部門は医薬・化粧品関係(部会)や化合繊関係など約22万人で構成。流通部門は百貨店・GMS関係、食品関連など約47.2万人、サービス部会は医療・介護関係、外食関係など約39.4万人を、それぞれ擁することになる。

組織機構・運動改革の最終案は、来年1月の中央委員会に提案する。部門ごとの活動方針や予算案、役員定数・立候補等の案出を進め、来夏の定期大会で新たな部門組織を結成(現在の部会は解散)する見通しだ。

「JSDとの協議再開は'統合ありき'の決意で」(落合会長)

組織機構改革に関連して、落合会長はあいさつの中で、サービス・流通連合との産別統合問題にも言及した。JSDとの産別統合をめぐっては、2005年末に両者で協議機関を設置し、新産別の具体的な姿や機構、運営のあり方について合意を得たものの、会費水準や統合組織の名称等で決裂し、協議打ち切りを確認後、棚上げになってきた経緯がある。

この問題について落合会長は、「JSDから昨秋、やはり産業政策の実現等に向け、統合のための協議を再開したいという申入れを受けた。UIゼンセン同盟としては統合を確実に導く立場から、 (1)統合のための協議再開に当たっては両者に'統合ありき'の決意が必要 (2)統合時期を2012年秋とし、組織改革と併せて新組織を誕生させることを切に希望 (3)残された課題を協議し出来る限り早く、統合期日に併せた準備委員会を始動させる必要がある、といった考え方を提示してきた」などと報告。そのうえで、「本大会直後から再協議を進める」考えを明らかにした。

なおJSDは、UIゼンセン同盟との産別統合協議の再開方針について、9月に臨時大会を開いて決議することにしている。