前年と遜色ない回答を引き出した/国民春闘共闘

(2011年7月1日 調査・解析部)

[労使]

全労連加盟組織を中心につくる国民春闘共闘は6月30日、都内で「第2回単産・地方代表者会議」を開き、今春の賃上げ交渉の中間総括を確認した。ほぼ昨年と同水準となった賃上げ結果について総括は、「労働者要求の前進こそが被災者支援、被災地の復旧・復興の要であるとする立場をアピールし、春闘に好影響をあたえることができた」と分析しながら、「東日本大震災を口実に、春闘『自粛』を持ち出した経営側の姿勢に対して、統一行動を背景にかなりの程度はね返すことができた」と評価している。

単純平均で137円像の5,458円

賃上げ集計(5月26日現在)によると、回答状況は、単純平均で5,458円(1.83%)、加重平均では5,680円(1.86%)となっており、前年同期と比べて、単純平均で137円増、加重平均では140円のマイナスとなっている。登録810組合のうち、有額回答を引き出したのは324組合(40.0%)で、その54.3%が前年実績額以上の額を獲得している。集中回答日直前の東日本大震災の発生で、ストや統一行動などの戦術配置に影響がでたが、進捗状況、賃上げ結果ともにほぼ昨年実績と同水準で推移した。パートタイマーの賃上げでは、時間給の引き上げ回答を得た98組合の単純平均額は9.2円となっている。

国民春闘共闘は、「誰でも時間給100円以上、月額1万円以上の賃金引き上げ」を統一要求基準に掲げ、地域での統一行動強化による「目に見え、音に聞こえる春闘」を旗印に、今春の賃上げ交渉に臨んだ。

中間総括は、今春の交渉について、「大震災によって、大手民間労組が要求自粛でベア相場を張ろうとしない中、『流れ解散』せずに、団体交渉を展開し、前年に比して遜色ない回答引き出し・妥結数、妥結結果を勝ち取った」と評価。そのうえで、「財界・大企業は、震災を契機に社会全体の総人件費抑制の攻撃を強めている。賃金底上げの重要性がより高まっており、職場での闘いと産別への結集、地域での連帯づくりに工夫が必要だ」と訴えている。

議論では、「今春闘の取り組みを通じて、職場には闘うエネルギーがあることを再認識した。これをどう引き出して、来年につなげるかが今後の課題だ」(JMIU)や「『目に見える春闘』めざして、署名活動や集会など様々な取り組みを積極的に展開し、改めてその重要性を実感した」(長野労連)などの意見が出た。